事業承継

事業承継の方法別メリット・デメリット

事業承継にはいくつか方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
当たり前ですがまずは押さえておきましょう。

息子・娘(親族)への事業承継

経営者

メリット

  • 社内外の関係者の納得が得やすい

デメリット

  • 親族内に経営能力が高い後継者候補がいるとは限らない。
  • 親族内に後継者候補が複数いる場合、権限分散による経営混乱が起きるリスクがある。
株主

メリット

  • 相続や贈与で、自社株や個人財産を後継者に移転できる。
  • オーナー一族で経営支配権を確保できる。

デメリット

  • 息子・娘を含む親族内に経営能力が高い後継者候補がいるとは限らない。
  • 息子・娘を含む親族内に後継者候補が複数いる場合、権限分散による紛争が起こるリスクがある。
従業員

メリット

  • 社内で一緒に仕事をしてきた後継者であれば、比較的業務がスムーズに引き継がれる。
  • 緊急事案があった際に、先代社長に相談できる環境を作りやすい。

デメリット

  • 後継者が先代社長と対立した場合、従業員は先代社長と後継者との板ばさみになる。
  • 後継者の経営能力が低すぎた場合、従業員は将来への不安を抱えることになる。
取引先

メリット

  • 後継者による新しい価値観や新しいやり方で、新しい取引に発展する可能性がある。

デメリット

  • 後継者が先代のやり方を否定したり、見直しをした場合、関係が壊れるリスクがある。
金融機関

メリット

  • 後継者による新しい方針で、業務拡大や新規事業など新しい取引に発展する可能性がある。

デメリット

  • 後継者の経営手腕や銀行との関係構築能力が劣っている場合、今までの関係が壊れるリスクがある。
  • 新社長への担保や保証を付ける必要がある。

まずは、息子・娘など親族への承継であり、これが中小企業の事業承継の王道と言えるでしょう。なぜなら資産の件があるからです。他人に資産を渡すというのは、対価が発生しますが、他人が対価を支払うとなると難しいことが多いです。いくらにするのか、どうやって払うのかなど決めないといけません。一方、後継者が息子や娘だと資産の承継が非常にスムーズになります。
また、無借金の場合は良いのですが、借金がある場合は、経営者が個人保証をしないといけません。確かにいい事業だとしても、息子・娘でない他人が、先代の1億2億の連帯保証をすることは抵抗があります。しかし、息子・娘だと「親父の借金だったら」と言って、腹をくくりやすくなります。また、従業員など関係者の納得度が高くなります。
以上のとおり、息子・娘への事業承継は王道と言うにふさわしいでしょう。
もっとも、息子・娘本人が本当にやりたいかどうかが問題となることが多くあります。
息子・娘だから「仕方がないからやる」、「ほかにいないからする」、「本当はやりたいことがあるけど」という気持ちで、事業承継するほど市場環境は甘くないでしょう。事業承継をしたら15年、20年後も経営者として会社を経営することになります。
生半可な気持ちでは後継者になるべきではないのです。