事業承継
事業承継の方法別メリット・デメリット
事業承継にはいくつか方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
当たり前ですがまずは押さえておきましょう。
経営幹部への事業承継
- 経営者
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メリット
- 自ら株主になるので株主からの監視を逃れ、長期的な視点で経営ができる。
- 自由度のある経営が可能となる。
デメリット
- 株式買収資金の返済に追われることになる。
- 信用度が低下し、資金調達が困難にある可能性。
- 株主
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メリット
- 投下資本の回収ができる。
- 公正な手続きを経て、株主へ利益が還元される。
デメリット
- 株の譲渡益の税負担が発生することがある。
- 後継者候補の資金力では、株式取得資金が不足するケースが多い。
- 成長企業の場合、MBO以降の分配を受けることができない。
- 新株主にとっては、事業が軌道に乗らなかった場合に、株式価値が0になる可能性もある。
- 従業員
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メリット
- 現場の声が経営に反映しやすくなる。
- M&Aに比べ、雇用の継続性を維持できる。
デメリット
- 獲得利益が買収資金の返済に充てられるため、処遇が悪くなる可能性がある。
- 労働条件が維持されるかが不安視されることもある。
- 取引先
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メリット
- 従来と変わらない経営が見込まれ、取引が継続しやすい。
- 従来の取引関係から友好的な関係が維持できる。
デメリット
- 後継者候補の方針によっては、取引の見直しが行われる可能性がある。
- 後継者候補の能力によっては、売掛金回収の危険度が増す。
- 金融機関
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メリット
- 買収資金の提供により、企業との親密度が増し、経営の状況がよく見えるようになる。
- 融資拡大の可能性が大きくなる。
- メインバンクとしての地位を獲得できる。
デメリット
- 経営幹部による買収資金の返済状況によっては、会社の与信が下がる可能性。
- 現経営者の個人保障や担保を外すことになる。
経営幹部である社員に譲りたいという経営者も増えています。なぜなら、息子が継がないというケースが増えているからです。
しかし、社員に事業承継は困難な点が多いことを、知っていただきたいと思います。
社員が3年くらい雇われ社長として、つなぎの社長をするだけであれば問題は少ないといえます。しかし、本当の事業承継をするためには、会社の権利や株式など全て後継者候補たる社員に譲渡しなければならず、社員は譲り受けるためにお金を準備しなければならないので簡単ではありません。
また、会社に借金があれば、後継社長となる以上は連帯保証人にならなければいけないことも社員にとってハードルが高いといえるでしょう。
オーナー社長の立場とは、会社が儲かったらその分自分のものだし、儲からなかったら自分の資産が減るという立場であり、社員とは全くことなるものです。そのような違いを受け入れる社員でなければ、事業承継はできないため困難が伴うことを知っていただきたいと思います。