TORUTEブログ
事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?~熊本の相談現場で見る、不採択になりやすい申請の共通点~
2026/08/23 18:32|カテゴリー:事業承継

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「事業承継・M&A補助金を使いたいが、どのくらい採択されるものなのか」「せっかく手間をかけて申請しても落ちるなら、最初から考えないほうがよいのでは」。補助金のご相談では、必ずといってよいほどこのご質問をいただきます。採択率という数字だけを見て判断してしまうと、本来なら十分に通る可能性があった申請をあきらめてしまうことにもなりかねません。今回は、採択率をどう受け止めればよいのか、そして不採択になりやすい申請にはどんな共通点があるのかを、熊本の相談現場の目線で整理します。
採択率は「制度全体の数字」ではなく「枠ごとの数字」で見る
結論から申し上げると、事業承継・M&A補助金の採択率は、制度全体でひとくくりに語れるものではありません。この補助金には専門家活用枠、経営革新枠、廃業・再チャレンジ枠といった複数の枠があり、枠ごとに応募件数も審査の観点も異なります。同じ公募回でも枠によって採択率に差が出ることは珍しくありませんし、公募回が変われば予算規模や応募状況も変わります。
つまり「事業承継の補助金は通りにくいらしい」という漠然とした噂で判断するのではなく、自社が使おうとしている枠について、直近の公募回の実績を確認するのが出発点です。採択結果は公募回ごとに公表されますので、最新の公募要領とあわせてご確認ください。なお、具体的な採択率や上限額は公募回によって変わりますので、本稿では数字そのものではなく「何が結果を分けるのか」に絞ってお伝えします。
不採択になりやすい申請に共通する4つの点

私たちが拝見してきた範囲で、惜しくも通らなかった申請には、いくつか共通する傾向があります。
ひとつ目は、形式要件の取りこぼしです。gBizIDプライムの取得が間に合わない、認定経営革新等支援機関の確認書が締切に間に合わない、必要書類の一部が欠けている——といった、内容以前のところで土俵に上がれないケースです。もったいない不採択の典型といえます。
ふたつ目は、承継や M&A と、申請している取組のつながりが見えないことです。設備投資や新事業の計画そのものは立派でも、それが「承継を機に行うもの」だと読み手に伝わらなければ、この補助金の趣旨に合っているとは判断されにくくなります。
三つ目は、数字の裏づけが薄いことです。「売上を伸ばす」「効率化する」という方向性だけが書かれていて、どの経費がどう効いて、いつまでにどの程度の効果を見込むのかが示されていない申請は、評価しづらいものになります。
四つ目は、対象外経費が混ざっていることです。何が対象になるかは公募要領で細かく決められており、思い込みで積み上げると、申請額が想定より大きく削られることもあります。
準備段階でできることのほうが、実は多い
採択率を上げるという言い方をすると、申請書の書きぶりを工夫する話だと受け取られがちですが、実際に効いてくるのは書き始める前の準備です。gBizIDプライムの取得には日数がかかりますし、認定支援機関に相談してから書類が整うまでにも時間が必要です。締切の直前に動き出すと、この二つだけで選択肢が狭まってしまいます。
また、承継やM&Aの計画自体がまだ固まっていない段階で申請書だけを先に書こうとすると、どうしても内容が抽象的になります。誰に、いつ、どのように引き継ぐのか。その中でこの取組がどんな役割を果たすのか。この順番で整理しておけば、申請書は自然と具体的なものになります。
まとめ
採択率は、制度全体の平均値を眺めても意味がありません。ご自身が使う枠の直近の傾向を確認したうえで、形式要件を確実に押さえ、承継・M&Aと取組のつながりを数字とともに示す。この基本を丁寧に踏むことが、遠回りのようでいて一番の近道です。制度の内容や上限額、公募スケジュールは公募回ごとに変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認ください。また、対象になるかどうかは個別事情により異なりますので、判断に迷う点は専門家にご相談ください。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&Aのご相談をお受けしています。「補助金が使える場面なのか知りたい」「次の公募に間に合うか確認したい」といった段階のご相談でも構いません。お気軽にご相談ください。
最近の投稿
- 資金繰りが厳しくなったら会社はどうなる?~私的整理と法的整理の違いと、熊本の相談現場で見る再生の選択肢~
- 赤字でも会社は売れる?~熊本の相談現場で見る、1000万円以下の少額案件で買い手がつく会社の条件~
- 事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?~熊本の相談現場で見る、不採択になりやすい申請の共通点~
- 会社を整理したら社長の個人保証はどうなる?~経営者保証ガイドラインと、再生型M&Aで事業を残す方法~
- M&Aは安く済ませられる?~1000万円以下の少額案件でかかる費用と『安い会社』の見極め方~
- M&Aの仲介手数料に補助金は使える?~事業承継・M&A補助金『専門家活用枠』の対象と申請の流れ~
- 債務超過でも会社は残せる?~熊本の相談現場で見る、再生型M&Aとスポンサー型で事業をつなぐ方法~
- 100万円で買える会社は本当にある?~スモールM&Aと1000万円以下の少額案件の実態と注意点~
- これから危ない企業に共通する特徴とは?~熊本の相談現場で見る、決算書で確認したい5つの危険信号~
- 事業譲渡で退職したら会社都合になる?~熊本の相談現場で見る、失業給付の扱いと転籍の実務~