TORUTEブログ
2026年7月
アトツギ甲子園とは?~第7回エントリー開始、熊本の後継者が『家業を伸ばす』ための使い方~
2026/07/31 20:09|カテゴリー:後継者

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「息子は継ぐと言ってくれたが、今の事業のままで先が見えるのか」「後継者候補が新しいことをやりたがっているが、応援していいものか」。後継者に関するご相談では、こうした“承継したあとの成長”への不安をよく伺います。そんな後継者・後継者候補が全国の同世代と競い合う場が「アトツギ甲子園」です。2026年7月31日、九州経済産業局から第7回のエントリー受付が8月3日(月曜日)に始まると発表されました。本記事では、アトツギ甲子園とはどのような取り組みなのか、そして熊本の中小企業がこれをどう活用できるのかを整理します。
アトツギ甲子園とは?後継者が「新規事業」で挑むピッチコンテスト
アトツギ甲子園は、中小企業庁が主催する、家業を継ぐ立場にある若手(おおむね39歳以下の後継者・後継者候補)を対象としたビジネスプランのピッチコンテストです。ポイントは、評価の対象が「今ある家業をそのまま守れているか」ではなく、家業の経営資源を活かして新しい事業に挑戦するプランだという点にあります。地方大会を経て決勝大会に進む形式で開催されており、出場をきっかけに新規事業が動き出したり、支援機関や金融機関との接点が生まれたりする例も報告されています。単なるコンテストではなく、「後継者が自分の言葉で会社の未来を語る訓練の場」として設計されているのが特徴です。
第7回は8月3日エントリー開始。九州でも後押しの動きが広がる
九州経済産業局の発表によれば、第7回アトツギ甲子園のエントリー受付は2026年8月3日(月曜日)から始まります。あわせて、後継者同士が学び合う「アトツギSUMMER CAMP」の開催や、地域で後継者を後押しする「アトツギ甲子園地域アンバサダー」の任命も公表されました。九州経済産業局の管轄には熊本県も含まれますので、熊本市・八代市の事業者にとっても身近な取り組みだといえます。ただし、応募資格・締切・提出書類などの詳細は回によって変わります。エントリーを検討される場合は、必ず最新の募集要項や公式サイトの案内をご確認ください。
熊本の後継者にとって、アトツギ甲子園を使う3つの意味

私たちが熊本でご相談を受けていて感じるのは、アトツギ甲子園の価値は「入賞するかどうか」だけではない、ということです。実務的には、次の3つの効果が大きいと考えています。
第一に、事業計画が言語化されることです。応募にあたっては、家業の強み・課題・新規事業の狙いを整理する必要があります。この作業は、そのまま金融機関への説明資料や補助金申請の土台になります。第二に、先代との対話のきっかけになることです。「新しいことをやりたい」という漠然とした主張ではなく、数字と根拠のあるプランとして示せれば、先代も判断しやすくなります。第三に、同じ立場の仲間と支援者に出会えることです。地方では後継者同士の横のつながりが生まれにくく孤立しがちですが、こうした場は貴重な接点になります。
エントリー前に整理しておきたい準備のポイント
準備の順番としては、まず自社の経営資源の棚卸しから始めることをおすすめします。設備、技術、取引先、人材、許認可、そして地域での信用。新規事業のプランは、これらとつながっているほど説得力が増します。次に、株式と経営権の現状確認です。後継者が新規事業に本気で取り組む前提として、株式が誰にどれだけ分散しているか、承継のスケジュールをどう描くかは避けて通れません。ここを曖昧にしたまま事業だけ先に進むと、後々の承継で行き詰まることがあります。最後に、資金面の見通しです。事業承継・M&A補助金をはじめとする支援策の活用も考えられますが、対象要件や補助率は公募回ごとに変わりますので、最新の公募要領をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
まとめ
アトツギ甲子園は、後継者が「家業を継ぐ」だけでなく「家業を伸ばす」立場として一歩を踏み出すための舞台です。第7回のエントリー受付は2026年8月3日から始まります。出場するかどうかにかかわらず、応募を検討する過程で行う自社の棚卸しと事業計画づくりは、必ず承継そのものの準備につながります。TORUTEは熊本市・八代市を中心に、後継者の育成、株式・経営権の整理、事業計画づくり、M&Aによる選択肢の検討まで、事業承継を一貫してご支援しています。「うちの息子・娘にも挑戦させてみたい」「その前に承継の道筋を整理したい」とお考えの経営者の方は、お気軽にご相談ください。
事業承継ガイドラインの最新版はどこを見る?~熊本の相談現場で見る、中小M&Aガイドラインとの違いと実務での使い方~
2026/07/30 09:01|カテゴリー:事業承継

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「事業承継ガイドラインの最新版を見ておいたほうがいい」と、金融機関や顧問税理士から言われたことはありませんか。ところが実際に調べてみると、似た名前の資料がいくつも出てきて、どれが最新なのか、そもそも自分の会社に関係があるのかが分かりにくい、というご相談をよくいただきます。ここで多くの社長さまがつまずくのは、「最新版がどこにあるか」と「その中身を自社でどう使うか」が別の問題だという点です。今回はその両方を整理してご説明します。
結論:最新版は中小企業庁の公式サイトで原典を確認するのが確実です
先に結論からお伝えすると、事業承継ガイドラインは中小企業庁が公表している資料であり、最新版を確実に把握する方法は、中小企業庁の公式サイトで原典を確認することです。このガイドラインはこれまでに複数回改訂されており、解説記事やセミナー資料は、公表された当時の版を前提に書かれていることが少なくありません。改訂前の内容をそのまま読んでしまうと、支援策や進め方の前提がずれてしまいます。
なお、事業承継ガイドラインは法律ではなく、国が示す考え方と手引きです。守らなければ罰則がある、という性質のものではありません。ただし、金融機関や支援機関が事業承継の相談を受けるときの共通の土台になっているため、経営者側が大枠を知っておくと、専門家との話が格段に早く進みます。
「事業承継ガイドライン」と「中小M&Aガイドライン」は役割が違います

検索して混乱しやすい最大の原因は、名前の似たもう一つの資料、「中小M&Aガイドライン」の存在です。どちらも中小企業庁が公表しているものですが、扱う場面が異なります。
事業承継ガイドラインは、親族内承継・従業員承継・第三者への承継(M&A)を含めた事業承継の全体について、何から考え、どう準備を進めるかを示すものです。一方、中小M&Aガイドラインは、その選択肢のうちM&Aを選んだ場合に、仲介者やアドバイザーがどう振る舞うべきか、経営者は何に注意すべきかという、取引の進め方とルールに焦点を当てた資料です。
つまり、「そもそもどの道を選ぶか」を考える段階では事業承継ガイドライン、「M&Aで進めると決めた後、支援会社を選び交渉する」段階では中小M&Aガイドラインが手引きになる、という関係です。当社も中小M&Aガイドラインの遵守を宣言している立場から申し上げますと、この違いをご存じかどうかで、支援会社の説明が適切かどうかを社長さまご自身で判断できるかが変わってきます。
改訂を経ても変わらない三つの軸
版が変わっても、ガイドラインが繰り返し伝えている軸は大きく変わっていません。実務のうえで特に押さえておきたいのは、次の三つです。
一つ目は、着手が早いほど選択肢が多いということ。承継の準備には数年単位の時間がかかるため、体調や取引先の事情で急に動かざるを得なくなると、選べる道が一気に狭まります。二つ目は、引き継ぐべきものは株式や不動産だけではないということ。取引先との関係、現場の技術、従業員の信頼といった目に見えない資産こそ、引き継ぎに時間を要します。三つ目は、親族内に後継者がいないことは行き止まりではないということ。従業員への承継や第三者へのM&Aも、ガイドラインが正面から示している選択肢です。
熊本の相談現場で見る、「読んだだけ」で止まらないために
ガイドラインを一通り読まれた社長さまから、「内容は分かったが、自社では何から手をつければよいのか分からない」というお声をいただくことがよくあります。示されているのはどの会社にも当てはまる大枠の流れですので、自社の事情に置き換える作業が別途必要になるためです。
最初の一歩としてお勧めしているのは、今の会社の状態を紙一枚に書き出すことです。株式を誰がどれだけ持っているか、後継者候補はいるか、個人保証や個人資産の担保提供はあるか、決算はここ数年どうか。この四点を整理するだけで、次に相談すべき相手が税理士なのか、金融機関なのか、M&Aの実務を扱う専門家なのかが見えてきます。逆にここが曖昧なまま相談に進むと、どうしても一般論の説明で終わってしまいます。
まとめ
事業承継ガイドラインの最新版は、中小企業庁の公式サイトで原典を確認するのが確実です。そのうえで、事業承継全体の考え方は事業承継ガイドライン、M&Aの進め方は中小M&Aガイドラインという役割分担を押さえておけば、情報に振り回されずに済みます。制度や支援策の要件・金額は改訂や公募回によって変わりますので、実際に活用を検討される際は必ず最新の公表資料や公募要領をご確認いただき、判断に迷う点は専門家にご相談ください。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継とM&Aのご相談を承っています。「ガイドラインを読んでみたが、自社の場合はどう進めるのが現実的か知りたい」という段階でも構いません。会社の状況を伺いながら、次に取るべき一手を一緒に整理いたします。お気軽にご相談ください。
事業譲渡が0円になるのはなぜ?~熊本の相談現場で見る、価格がつかない理由と『0円でも譲る』選択~
2026/07/27 12:11|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「事業譲渡 0円」——このように検索される社長さまは、決して少なくありません。譲渡の話を進めていたら提示額がほとんどゼロだった、あるいは、そもそも「0円でいいから引き取ってほしい」と考えている。どちらの場合も、その裏側にあるのは「自分が育てた会社には、本当に価値がないのだろうか」という不安です。今回は、事業譲渡の価格が0円になるのはなぜなのか、そして0円であっても譲る意味はあるのかを、熊本の相談現場で見えてきた視点から整理します。
結論:0円の事業譲渡は珍しくなく、「価値がない」ことと同じではありません
先に結論からお伝えすると、譲渡価格が0円、あるいはそれに近い金額になる事業譲渡は、実務のうえで決して例外的な話ではありません。そして重要なのは、価格が0円であることと、その事業に価値がないことは、まったく別だという点です。
譲渡価格は、多くの場合「純資産(資産から負債を差し引いたもの)」と「これから生み出す利益」の二つを土台に組み立てられます。たとえ現場に確かな技術があり、長く続いた取引先があっても、借入金が資産を上回っていれば、計算上の価格はゼロやマイナスに近づきます。つまり0円という数字は、会社の実力そのものではなく、貸借対照表と将来収益の見合いが表面に出た結果にすぎません。
譲渡価格が0円になる主な理由

相談の場でよく見られるのは、次のような背景です。いずれか一つだけということは少なく、複数が重なっているケースがほとんどです。
第一に、借入金や未払金といった負債が大きく、買い手がそれを引き継ぐ前提になっている場合です。買い手から見れば、対価を支払ったうえに負債まで背負うことになるため、その分が価格から差し引かれます。第二に、直近の業績が赤字、あるいは利益がほとんど出ていない場合です。将来生み出す利益から価格を考える以上、その源泉が細ければ数字は伸びません。第三に、社長個人の営業力や技術に売上が集中している場合です。社長が退けば取引が続かないと見られれば、買い手は将来の利益を慎重に見積もらざるを得ません。
0円でも譲る意味はあるのか
「それなら廃業したほうが早いのでは」と言われることがあります。しかし、実際に両方を並べて比べていただくと、譲渡を選ばれる社長さまは少なくありません。
廃業には、設備の処分費用、店舗や工場の原状回復、従業員への対応など、まとまった支出が伴います。0円で譲渡できるということは、これらの負担を負わずに事業を次へ渡せるということでもあります。加えて、従業員の雇用と取引先との関係が途切れず、社名や屋号、長年培った信用が地域に残ります。買い手にとっても、既にある人材・許認可・顧客をそのまま引き継げることには相応の意味があり、だからこそ0円でも話がまとまります。会社を清算して手元に残る金額と、譲渡することで失わずに済むものを並べて比べることが、判断の出発点になります。
0円だからこそ確認したい実務上の注意点
金額が小さいと手続きも簡単だと考えられがちですが、実際はむしろ逆です。
事業譲渡では、取引先との契約や許認可、従業員との雇用関係は自動的には引き継がれず、一つずつ手当てが必要になります。契約に相手方の承諾を要する条項がないか、営業に必要な許認可が引き継げる種類かどうかは、早い段階での確認が欠かせません。また、社長個人が会社の借入金の連帯保証人になっている場合、譲渡後もその保証が残ってしまわないよう、金融機関との調整が必要です。税務の扱いも、譲渡の対象や価格の決め方によって結論が変わり得ます。特に価格が著しく低い場合の課税関係は個別性が高いため、必ず税理士など専門家にご相談ください。
まとめ
事業譲渡の価格が0円になる背景には、負債の大きさ、直近の収益力、社長への依存度といった、数字に表れやすい要因があります。それは「価値がない」という評価ではなく、あくまで現時点の見合いを示した数字にすぎません。大切なのは、廃業した場合に出ていく費用と、譲渡によって守れるものを並べて比べたうえで、納得のいく道を選ぶことです。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継や事業譲渡のご相談を承っています。「うちは値段がつかないだろう」と感じておられる段階でも、実際に整理してみると選択肢が残っていることは少なくありません。判断を急ぐ必要はありませんので、まずはお気軽にご相談ください。
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