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事業承継

熊本で事業継承を考え始めたら?~「事業継承」と「事業承継」の違いと、まず整理したい3つのこと~

2026/08/11 10:32|カテゴリー:事業承継

熊本で事業継承を考え始めたら?~「事業継承」と「事業承継」の違いと、まず整理したい3つのこと~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「そろそろ会社の引き継ぎを考えないといけない」と思い立って検索したとき、「事業継承」と「事業承継」の二つの表記が出てきて戸惑った、という声をよくいただきます。どちらが正しいのか、そして熊本で実際に動き出すとしたら何から手をつければよいのか。今回はこの入口の疑問に正面からお答えします。

結論:制度上の言葉は「事業承継」。ただし入口はどちらでも構いません

国の補助金や税制の名称、中小企業庁のガイドラインで使われているのは、すべて「事業承継」です。「承継」は地位・権利・義務をまとめて受け継ぐことを指す法律用語で、株式や許認可、借入金の保証といった「見えない部分」まで引き継ぐ場面に使われます。一方の「継承」は、技術や精神など形のないものを受け継ぐ一般的な言葉です。

とはいえ、実務で「事業継承と書いたから手続きができない」ということはありません。大切なのは表記ではなく、引き継ぐ対象が「社長の椅子」だけではないと理解しておくことです。株式、経営者保証、取引先との関係、従業員の雇用まで含めて動かすのが事業承継だと押さえておけば、その後の相談がぐっとスムーズになります。

まず整理したいこと① 誰に引き継ぐのかを仮でも決める

事業継承を考え始めたら まず整理したい3つのこと

選択肢は大きく三つ、親族内承継・従業員(役員)承継・第三者へのM&Aです。この三つは必要な準備も期間も費用も違うため、方向性が定まらないまま進めると、どの準備も中途半端になってしまいます。

現時点で確定していなくても構いません。「息子に打診はしているが返事待ち」「工場長が有力だが資金面が不安」といった仮置きで十分です。仮でも軸が決まると、次に確認すべき論点がはっきりします。

まず整理したいこと② 自社株と経営者保証の現状

実際の相談現場で足止めになりやすいのが、この二つです。自社株が先代の兄弟や退職した元役員に分散したままになっているケース、あるいは相続によって現経営者以外の親族へ渡っているケースは珍しくありません。株が散っていると、承継の場面で意思決定が滞ります。

また、金融機関からの借入に社長個人の保証が付いている場合、後継者がその保証を引き継ぐことをためらい、話が止まることもあります。「経営者保証に関するガイドライン」に沿った対応で解除できる可能性もありますので、金融機関や専門家に早めに相談しておくと選択肢が広がります。

まず整理したいこと③ 会社を「引き継げる状態」にできているか

社長の頭の中にしかない情報が多いほど、引き継ぎは難しくなります。主要取引先との条件、価格の決め方、職人の段取り、許認可の更新時期。これらが書き出されているだけでも、後継者にとっても買い手にとっても評価は変わります。

決算書の数字を良く見せる作業よりも、こうした「見えない資産の見える化」のほうが、結果的に会社の価値を高めることが多いというのが実感です。

熊本で動き出すときの進め方

熊本県内には、熊本県事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所、金融機関の相談窓口があり、無料で相談できる入口が用意されています。まずは現状を整理して持ち込むことをおすすめします。補助金や税制の特例を使う場合は、適用の要件や申請時期が公募回ごとに変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認いただき、判断の前に専門家にご相談ください。

まとめ

「事業継承」と検索して調べ始めた方も、入口はそれで十分です。そこから、誰に引き継ぐか・自社株と経営者保証・引き継げる状態か、という三点を整理していけば、次にすべきことは自然と見えてきます。

TORUTEは熊本市・八代市を中心に、県内の中小企業の事業承継とM&Aをご支援しています。「まだ具体的には決まっていないが、話だけ聞いてみたい」という段階でも構いません。お気軽にご相談ください。

個人事業主の事業承継は親子でどう進める?~法人と違う手続きと、熊本の相談現場で見る引き継ぎの実務~

2026/08/08 16:28|カテゴリー:事業承継

個人事業主の事業承継は親子でどう進める?~法人と違う手続きと、熊本の相談現場で見る引き継ぎの実務~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

「個人事業を息子に引き継ぎたいが、会社と違って株がない。どうやって承継すればいいのか」——熊本市や八代市でご相談を受けていると、法人ではなく個人事業主の方からこうしたお声をいただくことが少なくありません。法人であれば株式を渡せば会社ごと引き継げますが、個人事業には「株式」という受け皿がありません。屋号・取引先・許認可・従業員・借入れを、どうやって親から子へ移すのか。今回は、個人事業主が親子間で事業を承継するときの手続きと、実務で必ずつまずくポイントを整理します。

結論:個人事業の承継は「親の廃業+子の開業」が出発点

個人事業と法人で違う承継のかたちの比較図

まず押さえていただきたい結論から申し上げます。個人事業の親子間承継は、法人のような包括承継ではありません。原則として、親が「廃業届」を出し、子が「開業届」を出す。税務上はこの2つの手続きが土台になります。

ここが法人との決定的な違いです。法人の場合、株式が移動しても会社という器はそのまま残るため、契約も許認可も従業員との雇用関係も、原則そのまま引き継がれます。ところが個人事業では、事業を営んでいる「人」そのものが変わります。つまり、契約も許認可も従業員との関係も、一つひとつ結び直す必要があるということです。「親子だから自然に引き継がれるだろう」という前提で進めてしまうと、承継後に取引が止まったり、許認可が切れて営業できなくなったりする事態が起こり得ます。

引き継げるもの・結び直しが必要なもの

実務では、承継の対象を「そのまま渡せるもの」と「手続きをしないと渡せないもの」に分けて考えると整理しやすくなります。

設備・車両・在庫といった事業用資産は、贈与または売買という形で子へ移すことができます。屋号もそのまま使い続けて構いません。一方で、取引先との継続的な契約、店舗や事務所の賃貸借契約、リース契約、金融機関からの借入れ、従業員の雇用契約、そして許認可は、いずれも名義人が変わる以上、相手方の承諾を得たうえで結び直すのが原則です。

特に注意していただきたいのが許認可です。建設業、飲食業、運送業、産業廃棄物処理業など、業種によっては親の許認可を子がそのまま引き継げず、子が新規に取得し直さなければならない場合があります。要件を満たすまでに数か月かかることもありますので、承継の日程を決める前に、まず管轄の窓口で確認しておくことをおすすめします。

親子承継で見落とされやすい3つの実務

ご相談の中で、後から問題になりやすい論点を3つ挙げます。

1つ目は借入れです。個人事業の借入れは事業主個人の債務ですので、子が事業を引き継いでも、返済義務が自動的に子へ移るわけではありません。金融機関と協議し、債務引受や借換えなどの手続きが必要になります。事前に相談せずに進めると、承継後の資金繰りに支障が出かねません。

2つ目は資産の移し方です。事業用資産を無償で渡せば贈与、有償で渡せば売買となり、それぞれ贈与税・所得税の扱いが変わります。金額や資産の内容によって有利不利が変わるため、税理士など専門家にご相談のうえ判断されることをおすすめします。

3つ目は他のご家族との関係です。事業用資産の多くを後継者となるお子さんに集中させると、将来の相続で他のご兄弟との間で不公平感が生じ、遺産分割がまとまらないことがあります。事業を守るためにも、承継の段階で家族全体の資産配分を見渡しておくことが大切です。

個人版事業承継税制という選択肢

個人事業主の承継については、一定の要件を満たすことで、事業用資産にかかる贈与税・相続税の納税が猶予される「個人版事業承継税制」という制度が設けられています。適用には計画の提出や確認申請など事前の手続きが必要で、期限や要件も定められています。

ただし、この種の制度は要件や期限が改正されることがあり、また猶予が取り消される場合の負担も小さくありません。ご検討の際は、必ず最新の公表資料をご確認いただくとともに、税理士等の専門家にご相談ください。制度を使うことが目的化してしまい、事業そのものの引き継ぎ準備が後回しになっては本末転倒です。

まとめ

個人事業主の親子承継は、株式を渡せば済む法人の承継とは進め方が異なります。廃業届・開業届という税務手続きを土台に、契約・許認可・借入れ・従業員との関係を一つひとつ結び直していく——地道ですが、この積み重ねが承継後の事業を守ります。特に許認可と借入れは、準備に時間がかかる論点です。「そろそろ息子に」とお考えになった時点で、逆算して動き始めていただくのが安心です。

TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、法人・個人事業を問わず事業承継のご相談を承っています。何から手をつけるべきか整理するところからお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。

株価対策をしていない会社はどうなる?~熊本の相談現場で見る、自社株の評価が上がり続けるリスクと打ち手~

2026/08/06 08:42|カテゴリー:事業承継

株価対策をしていない会社はどうなる?~熊本の相談現場で見る、自社株の評価が上がり続けるリスクと打ち手~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

「うちは自社株の対策なんて何もしていないが、それで問題があるのだろうか」——事業承継のご相談で、社長からよくいただく質問です。上場していない会社の株式には市場価格がないため、日ごろ意識する機会がほとんどありません。ところが、いざ後継者へ引き継ぐ段になって株価を算定してみると、想像以上の評価額になっていた、というケースは珍しくありません。今回は、株価対策をしていない会社に何が起きるのか、そして今から何を確認すればよいのかを整理します。

株価対策をしていない会社ほど、承継の選択肢が狭くなる

自社株の評価額を知らない会社と知っている会社の違い

結論からお伝えすると、株価対策そのものをしていないことが直ちに問題なのではありません。問題は、自社株がいくらと評価されるのかを知らないまま時間が過ぎていくことです。評価額を把握していなければ、後継者にどれだけの負担がかかるのか、贈与と相続のどちらが現実的なのか、そもそも親族内で承継できるのかといった判断ができません。結果として、まだ打てる手が残っている時期を逃し、選べる方法が限られてしまいます。

業績のよい会社ほど、知らないうちに評価が上がっていく

非上場株式の評価では、会社の規模や業種に応じて、同業種の上場会社と比較する方法や、純資産をもとに計算する方法などが用いられます。いずれの方法でも、利益を出し、内部留保を積み上げてきた会社ほど評価額は高くなりやすい構造です。つまり、堅実に経営してきた会社ほど、自社株の評価は静かに上がっていきます。加えて、遊休不動産や生命保険の解約返戻金、含み益のある資産なども評価に影響します。「特別なことは何もしていない」会社でも、10年前とは評価額がまったく違う、ということが起こり得るのです。

対策をしていない会社で起きやすい3つのこと

一つ目は、後継者の資金負担です。株式を贈与や相続で引き継ぐ場合には税負担が生じ、買い取る場合には買取資金が必要になります。評価額が高いほど、この負担は重くなります。

二つ目は、株式の分散です。相続で複数の相続人に株式が分かれると、後継者の議決権が過半数に届かず、重要な意思決定に支障が出ることがあります。いったん分散した株式を集め直すのは、想像以上に手間も費用もかかります。

三つ目は、遺産分割の偏りです。財産の大半が自社株という会社では、後継者に株式を集中させると他のご家族の取り分が乏しくなり、話し合いがまとまりにくくなります。会社の問題が、そのまま家族の問題になってしまう典型的なパターンです。

まずは「今いくらか」を知ることから始める

進め方はシンプルです。決算書をもとに現在の株価をおおよそ把握し、後継者に移すとしたらどれだけの負担が生じるかを試算します。そのうえで、役員退職金の支給時期に合わせた移転、計画的な生前贈与、持株会社や種類株式の活用、事業承継税制の検討など、自社に合う方法を比較していきます。どの方法にも要件や副作用があり、株価を下げること自体が目的になってしまうと、資金繰りや信用力を損なうこともあります。制度の要件や取扱いは改正されることもあるため、実行にあたっては最新の情報をご確認のうえ、税理士など専門家にご相談ください。

まとめ

株価対策をしていない会社にまず必要なのは、いきなり大きな手を打つことではなく、自社株の評価額を知り、承継の全体像を描くことです。評価額がわかれば、いつ・どの方法で移すのが現実的か、判断材料がそろいます。時間を味方につけられるかどうかで、選べる選択肢の幅は大きく変わります。

TORUTEは熊本市・八代市を中心に、自社株の現状把握から承継の進め方の設計、後継者不在の場合のM&Aまで、財務の視点で伴走しています。「そろそろ考えたほうがよいのだろうか」という段階でも構いません。お気軽にご相談ください。