TORUTEブログ
企業価値評価・株価
会社を売ったら税金はいくら?~1000万円以下の株式譲渡で手元に残る金額と、熊本の相談現場で見る4つの確認点~
2026/10/03 10:43|カテゴリー:M&A、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

「会社を1000万円で売れても、税金で大きく減るのでは」と心配される経営者の方は少なくありません。実は、売り方によって税金のかかる相手(会社か個人か)も計算方法も変わります。この記事では、1000万円以下の少額案件を前提に、売却時の税金の考え方を整理します。
株式譲渡は「個人の譲渡所得」として課税される
オーナー個人が持つ株式を売る株式譲渡では、売却代金から取得費(株式を取得した時の費用)と譲渡費用(仲介手数料など)を引いた「譲渡益」に対して課税されます。一般に、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて約20%が目安とされています。
たとえば創業時に資本金100万円で設立し、株式を800万円で譲る場合、譲渡益は700万円から費用を引いた額になり、税額はその約2割が目安です。ただし実際の取得費や特例の有無で変わりますので、最新の制度は税理士にご確認ください。
事業譲渡は「会社」に税金がかかり、オーナーには二段階目がある
事業の一部や全部を売る事業譲渡では、売却益は会社の利益として法人税の対象になります。さらに、その代金をオーナーが受け取る場合は、役員報酬・退職金・配当などの形で個人にも課税される可能性があります。
また、事業譲渡では資産ごとに消費税の扱いが分かれる点や、不動産の名義変更に伴う費用が出る点にも注意が必要です。株式譲渡と事業譲渡のどちらで売るかで手取りが変わるため、スキームは価格交渉の前に比べておくことをおすすめします。
少額案件で見落としやすい3つの税金まわり
熊本の相談現場で多いのは、次のような見落としです。
1つ目は、赤字会社や債務超過に近い会社を「0円」や「1円」で譲る場合でも、株価の算定次第で税務上の評価が問題になることです。2つ目は、社長個人の貸付金や会社の借入に対する個人保証が、譲渡後にどう整理されるかを契約で決めていないことです。3つ目は、役員退職金を支給して会社の利益を圧縮する場合、支給の時期と金額に妥当性が求められる点です。
売却を決める前に確認したい4つのこと

手元に残る金額を見誤らないために、次の4点を先に確認しておくと安心です。
・取得費(資本金・購入時の金額)の資料が残っているか
・株式譲渡と事業譲渡の両方で手取りを試算したか
・仲介手数料など譲渡費用の見込みを把握しているか
・個人保証や貸付金の扱いを、買い手と文書で合意できるか
まとめ
少額のM&Aでも、売り方によって税金の額や納める相手が変わります。「いくらで売れるか」だけでなく「いくら手元に残るか」で比べることが、後悔しない判断につながります。制度や税率は変わる可能性があるため、最新の情報を確認し、税理士などの専門家にご相談ください。
熊本市・八代市で会社の売却や事業承継をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
1000万円以下の会社の売却価格はどう決まる?~年買法の考え方と値付けで押さえたい4つのポイント~
2026/09/11 18:32|カテゴリー:M&A、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「うちの会社、いくらで売れるんでしょうか」。1000万円以下の少額案件のご相談では、最初にこの質問をいただくことがほとんどです。大きな会社のM&Aのように複雑な計算をするわけではありませんが、決算書の数字をそのまま当てはめると、売り手・買い手のどちらかが納得できない価格になりがちです。今回は、少額案件でよく使われる値付けの考え方と、熊本の相談現場で見てきた注意点をまとめます。

少額案件でよく使われる「年買法」とは

中小企業や小規模事業の売買では、「年買法(ねんがいほう)」と呼ばれる考え方が目安としてよく使われます。会社の純資産を時価で見直した金額に、営業利益の数年分を「のれん(目に見えない価値)」として上乗せする方法です。何年分を上乗せするかは、業種や事業の安定性、社長への依存度などで変わり、決まった答えはありません。あくまで交渉のスタートラインをつくるための物差しと考えるのが現実的です。
決算書の利益を「実態の利益」に直す
小さな会社では、社長の役員報酬を高めに設定していたり、社用車や保険など私的な性格の経費が混ざっていたりすることがよくあります。こうした項目を調整すると、決算書では赤字でも、実態としては利益が出ているケースも珍しくありません。反対に、社長がほぼ無給で現場に立っている飲食店や理美容店では、代わりの人を雇う人件費を差し引くと、利益が小さくなることもあります。買い手が引き継いだ後の姿で利益を見直すことが、値付けの出発点になります。
資産は時価で、負債は「見えないもの」まで
在庫や設備、保険積立金、不動産などは、帳簿の金額と実際の価値がずれていることが少なくありません。長く置いたままの在庫や古い機械は、帳簿ほどの価値がないと判断されることもあります。また、従業員の退職金、未払いの残業代、リース契約の残りなど、決算書に出てこない負債が後から見つかると、価格の引き下げや交渉の打ち切りにつながります。売り手側でも、事前にこうした点を洗い出しておくと話がスムーズに進みます。
価格以外の条件も「値段のうち」
少額案件では、金額だけでなく条件の組み合わせで合意に至ることが多くあります。たとえば、社長が一定期間残って引継ぎを手伝う、従業員の雇用を続ける、代金を分割で受け取る、個人保証を外してもらう、といった条件です。熊本市や八代市のご相談でも、「価格は少し下がっても、従業員とお客様をそのまま引き継いでくれる相手を選びたい」という売り手の方は少なくありません。手取り額だけでなく、何を守りたいかを整理しておくことが大切です。
まとめ
1000万円以下の少額案件の価格は、年買法などの目安をもとに、実態の利益への修正、資産と負債の見直し、価格以外の条件を組み合わせて決まっていきます。決算書だけで判断せず、早めに数字と条件を整理しておくことで、納得できる売却につながりやすくなります。具体的な評価の方法や税金の扱いは会社ごとに異なるため、専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、少額案件の値付けや売却の進め方のご相談をお受けしています。「まずは自分の会社がいくらくらいになるのか知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
株式譲渡と事業譲渡どちらで売る?~1000万円以下の少額案件のスキーム選びと手取りの違い~
2026/08/27 08:42|カテゴリー:M&A、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「うちの規模なら譲渡価格は1000万円もいかないと思うが、そもそも会社ごと売るのか、事業だけ売るのか、どちらがよいのか分からない」——こうしたご相談は少なくありません。金額が小さい案件ほど、進め方(スキーム)の選び方で手続きの重さも手取りも変わってきます。今回は1000万円以下の少額案件を念頭に、株式譲渡と事業譲渡のどちらで進めるかを整理します。

結論:少額案件は「買い手が引き継ぎたい範囲」で決まる
先に結論からお伝えすると、少額案件のスキームは、売り手の希望よりも「買い手がどこまで引き継ぎたいか」で決まる場面がほとんどです。会社そのもの(法人格)を丸ごと引き継いでよいと考える買い手なら株式譲渡、事業と必要な資産だけを取り込みたい買い手なら事業譲渡になります。特に買い手が個人や小規模な同業者の場合、簿外債務や過去の税務リスクまで背負うことを避けたいという理由から、事業譲渡が選ばれやすい傾向があります。
裏を返せば、売り手が「会社ごと引き取ってほしい」と考えているなら、決算書や契約関係を整理し、買い手が不安を持ちにくい状態にしておくことが、株式譲渡で進めるための近道になります。
株式譲渡と事業譲渡は何が違うのか

株式譲渡は、株主が持っている株式を買い手に渡す方法です。会社という器はそのまま残り、許認可・従業員の雇用・取引先との契約も原則としてそのまま続きます。手続きが比較的軽く、少額案件でもスピード感を出しやすいのが利点です。一方で、買い手は簿外の負債や未払い残業代といった見えないリスクごと引き継ぐことになります。
事業譲渡は、会社が持っている事業や資産を個別に売る方法です。引き継ぐ対象を選べるためリスクを切り分けやすい反面、取引先との契約や従業員の雇用は原則として結び直しが必要で、許認可も取り直しになることがあります。手間は増えますが、「この店舗とこの設備だけ引き継ぎたい」といった要望に応えやすい方法です。
少額案件で事業譲渡が選ばれやすい場面
実際のご相談では、次のような場合に事業譲渡が現実的な選択肢になります。ひとつは、社長個人の資産と会社の資産が混ざっていて、会社ごと渡すと整理が難しいケース。もうひとつは、複数事業のうち一部だけを譲り、残りは手元に置いて畳みたいケースです。また、会社に借入や係争が残っており、買い手がそれを引き継ぎたくないという理由から事業譲渡になることもあります。
ただし事業譲渡を選ぶと、譲渡後に会社は抜け殻として残ります。その会社をどう処理するか(休眠にするのか清算するのか)まで決めておかないと、後になって費用と手間が発生します。ここは早い段階で方針を決めておきたいところです。
売り手の手取りは同じ金額でも変わる
見落とされやすいのが、同じ「譲渡価格1000万円」でも手元に残る金額が変わるという点です。株式譲渡では、代金を受け取るのは株主である社長個人です。事業譲渡では、代金を受け取るのは会社であり、社長個人が受け取るには役員退職金や配当といった形で会社から出す必要があります。課税される主体も税目も異なるため、価格だけを見て比較すると判断を誤ります。
また、事業譲渡では消費税の扱いも論点になります。具体的な税負担は会社の状況や譲渡する資産の内容によって大きく変わりますので、必ず顧問税理士や専門家に個別に試算してもらったうえで比較してください。
まとめ
1000万円以下の少額案件でも、株式譲渡と事業譲渡のどちらで進めるかは重要な分かれ道です。買い手が引き継ぎたい範囲、会社に残るリスク、そして売り手の手取りという3つの視点で検討すると、方向性が見えやすくなります。なお、税務・法務の取扱いは個別事情により異なりますので、実際に進める際は必ず専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、小規模な事業の譲渡についてもご相談をお受けしています。「この規模でも相手が見つかるのか」「どちらの方法が向いているのか」といった段階のご相談で構いません。お気軽にご相談ください。
最近の投稿
- 熊本地震の被害で会社が立て直せないときは?~二重債務と災害特例をふまえ、熊本の相談現場で整理したい4つの道筋~
- 従業員にはいつ伝える?~1000万円以下のM&Aで、退職を招かない伝え方の順番~
- 代位弁済されたら会社は終わり?~信用保証協会・サービサーへの対応で整理したい4つのこと~
- 地域のガソリンスタンドは譲れる?~少額M&Aで買い手がつく条件と引き継ぎで確認したい4つのこと~
- 家賃やリース料を滞納したら?~熊本の相談現場で見る、再生の場面で契約解除を避ける4つの順番~
- M&Aの仲介手数料はいくら?~1000万円以下の少額案件の相場と内訳~
- 給与は後回しにできる?~資金繰りが苦しいとき、再生の相談現場で見る支払いの優先順位~
- 少額M&Aでもデューデリジェンスは必要?~1000万円以下の案件で確認したい4つの点~
- 再生の相談は取引先に知られる?~熊本の相談現場で見る、仕入先への伝え方と買掛金の扱い4つの要点~
- 会社を売ったら税金はいくら?~1000万円以下の株式譲渡で手元に残る金額と、熊本の相談現場で見る4つの確認点~
