TORUTEブログ
企業価値評価・株価
1000万円以下の会社の売却価格はどう決まる?~年買法の考え方と値付けで押さえたい4つのポイント~
2026/09/11 18:32|カテゴリー:M&A、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「うちの会社、いくらで売れるんでしょうか」。1000万円以下の少額案件のご相談では、最初にこの質問をいただくことがほとんどです。大きな会社のM&Aのように複雑な計算をするわけではありませんが、決算書の数字をそのまま当てはめると、売り手・買い手のどちらかが納得できない価格になりがちです。今回は、少額案件でよく使われる値付けの考え方と、熊本の相談現場で見てきた注意点をまとめます。

少額案件でよく使われる「年買法」とは

中小企業や小規模事業の売買では、「年買法(ねんがいほう)」と呼ばれる考え方が目安としてよく使われます。会社の純資産を時価で見直した金額に、営業利益の数年分を「のれん(目に見えない価値)」として上乗せする方法です。何年分を上乗せするかは、業種や事業の安定性、社長への依存度などで変わり、決まった答えはありません。あくまで交渉のスタートラインをつくるための物差しと考えるのが現実的です。
決算書の利益を「実態の利益」に直す
小さな会社では、社長の役員報酬を高めに設定していたり、社用車や保険など私的な性格の経費が混ざっていたりすることがよくあります。こうした項目を調整すると、決算書では赤字でも、実態としては利益が出ているケースも珍しくありません。反対に、社長がほぼ無給で現場に立っている飲食店や理美容店では、代わりの人を雇う人件費を差し引くと、利益が小さくなることもあります。買い手が引き継いだ後の姿で利益を見直すことが、値付けの出発点になります。
資産は時価で、負債は「見えないもの」まで
在庫や設備、保険積立金、不動産などは、帳簿の金額と実際の価値がずれていることが少なくありません。長く置いたままの在庫や古い機械は、帳簿ほどの価値がないと判断されることもあります。また、従業員の退職金、未払いの残業代、リース契約の残りなど、決算書に出てこない負債が後から見つかると、価格の引き下げや交渉の打ち切りにつながります。売り手側でも、事前にこうした点を洗い出しておくと話がスムーズに進みます。
価格以外の条件も「値段のうち」
少額案件では、金額だけでなく条件の組み合わせで合意に至ることが多くあります。たとえば、社長が一定期間残って引継ぎを手伝う、従業員の雇用を続ける、代金を分割で受け取る、個人保証を外してもらう、といった条件です。熊本市や八代市のご相談でも、「価格は少し下がっても、従業員とお客様をそのまま引き継いでくれる相手を選びたい」という売り手の方は少なくありません。手取り額だけでなく、何を守りたいかを整理しておくことが大切です。
まとめ
1000万円以下の少額案件の価格は、年買法などの目安をもとに、実態の利益への修正、資産と負債の見直し、価格以外の条件を組み合わせて決まっていきます。決算書だけで判断せず、早めに数字と条件を整理しておくことで、納得できる売却につながりやすくなります。具体的な評価の方法や税金の扱いは会社ごとに異なるため、専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、少額案件の値付けや売却の進め方のご相談をお受けしています。「まずは自分の会社がいくらくらいになるのか知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
株式譲渡と事業譲渡どちらで売る?~1000万円以下の少額案件のスキーム選びと手取りの違い~
2026/08/27 08:42|カテゴリー:M&A、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「うちの規模なら譲渡価格は1000万円もいかないと思うが、そもそも会社ごと売るのか、事業だけ売るのか、どちらがよいのか分からない」——こうしたご相談は少なくありません。金額が小さい案件ほど、進め方(スキーム)の選び方で手続きの重さも手取りも変わってきます。今回は1000万円以下の少額案件を念頭に、株式譲渡と事業譲渡のどちらで進めるかを整理します。

結論:少額案件は「買い手が引き継ぎたい範囲」で決まる
先に結論からお伝えすると、少額案件のスキームは、売り手の希望よりも「買い手がどこまで引き継ぎたいか」で決まる場面がほとんどです。会社そのもの(法人格)を丸ごと引き継いでよいと考える買い手なら株式譲渡、事業と必要な資産だけを取り込みたい買い手なら事業譲渡になります。特に買い手が個人や小規模な同業者の場合、簿外債務や過去の税務リスクまで背負うことを避けたいという理由から、事業譲渡が選ばれやすい傾向があります。
裏を返せば、売り手が「会社ごと引き取ってほしい」と考えているなら、決算書や契約関係を整理し、買い手が不安を持ちにくい状態にしておくことが、株式譲渡で進めるための近道になります。
株式譲渡と事業譲渡は何が違うのか

株式譲渡は、株主が持っている株式を買い手に渡す方法です。会社という器はそのまま残り、許認可・従業員の雇用・取引先との契約も原則としてそのまま続きます。手続きが比較的軽く、少額案件でもスピード感を出しやすいのが利点です。一方で、買い手は簿外の負債や未払い残業代といった見えないリスクごと引き継ぐことになります。
事業譲渡は、会社が持っている事業や資産を個別に売る方法です。引き継ぐ対象を選べるためリスクを切り分けやすい反面、取引先との契約や従業員の雇用は原則として結び直しが必要で、許認可も取り直しになることがあります。手間は増えますが、「この店舗とこの設備だけ引き継ぎたい」といった要望に応えやすい方法です。
少額案件で事業譲渡が選ばれやすい場面
実際のご相談では、次のような場合に事業譲渡が現実的な選択肢になります。ひとつは、社長個人の資産と会社の資産が混ざっていて、会社ごと渡すと整理が難しいケース。もうひとつは、複数事業のうち一部だけを譲り、残りは手元に置いて畳みたいケースです。また、会社に借入や係争が残っており、買い手がそれを引き継ぎたくないという理由から事業譲渡になることもあります。
ただし事業譲渡を選ぶと、譲渡後に会社は抜け殻として残ります。その会社をどう処理するか(休眠にするのか清算するのか)まで決めておかないと、後になって費用と手間が発生します。ここは早い段階で方針を決めておきたいところです。
売り手の手取りは同じ金額でも変わる
見落とされやすいのが、同じ「譲渡価格1000万円」でも手元に残る金額が変わるという点です。株式譲渡では、代金を受け取るのは株主である社長個人です。事業譲渡では、代金を受け取るのは会社であり、社長個人が受け取るには役員退職金や配当といった形で会社から出す必要があります。課税される主体も税目も異なるため、価格だけを見て比較すると判断を誤ります。
また、事業譲渡では消費税の扱いも論点になります。具体的な税負担は会社の状況や譲渡する資産の内容によって大きく変わりますので、必ず顧問税理士や専門家に個別に試算してもらったうえで比較してください。
まとめ
1000万円以下の少額案件でも、株式譲渡と事業譲渡のどちらで進めるかは重要な分かれ道です。買い手が引き継ぎたい範囲、会社に残るリスク、そして売り手の手取りという3つの視点で検討すると、方向性が見えやすくなります。なお、税務・法務の取扱いは個別事情により異なりますので、実際に進める際は必ず専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、小規模な事業の譲渡についてもご相談をお受けしています。「この規模でも相手が見つかるのか」「どちらの方法が向いているのか」といった段階のご相談で構いません。お気軽にご相談ください。
株価対策をしていない会社はどうなる?~熊本の相談現場で見る、自社株の評価が上がり続けるリスクと打ち手~
2026/08/06 08:42|カテゴリー:事業承継、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「うちは自社株の対策なんて何もしていないが、それで問題があるのだろうか」——事業承継のご相談で、社長からよくいただく質問です。上場していない会社の株式には市場価格がないため、日ごろ意識する機会がほとんどありません。ところが、いざ後継者へ引き継ぐ段になって株価を算定してみると、想像以上の評価額になっていた、というケースは珍しくありません。今回は、株価対策をしていない会社に何が起きるのか、そして今から何を確認すればよいのかを整理します。

株価対策をしていない会社ほど、承継の選択肢が狭くなる

結論からお伝えすると、株価対策そのものをしていないことが直ちに問題なのではありません。問題は、自社株がいくらと評価されるのかを知らないまま時間が過ぎていくことです。評価額を把握していなければ、後継者にどれだけの負担がかかるのか、贈与と相続のどちらが現実的なのか、そもそも親族内で承継できるのかといった判断ができません。結果として、まだ打てる手が残っている時期を逃し、選べる方法が限られてしまいます。
業績のよい会社ほど、知らないうちに評価が上がっていく
非上場株式の評価では、会社の規模や業種に応じて、同業種の上場会社と比較する方法や、純資産をもとに計算する方法などが用いられます。いずれの方法でも、利益を出し、内部留保を積み上げてきた会社ほど評価額は高くなりやすい構造です。つまり、堅実に経営してきた会社ほど、自社株の評価は静かに上がっていきます。加えて、遊休不動産や生命保険の解約返戻金、含み益のある資産なども評価に影響します。「特別なことは何もしていない」会社でも、10年前とは評価額がまったく違う、ということが起こり得るのです。
対策をしていない会社で起きやすい3つのこと
一つ目は、後継者の資金負担です。株式を贈与や相続で引き継ぐ場合には税負担が生じ、買い取る場合には買取資金が必要になります。評価額が高いほど、この負担は重くなります。
二つ目は、株式の分散です。相続で複数の相続人に株式が分かれると、後継者の議決権が過半数に届かず、重要な意思決定に支障が出ることがあります。いったん分散した株式を集め直すのは、想像以上に手間も費用もかかります。
三つ目は、遺産分割の偏りです。財産の大半が自社株という会社では、後継者に株式を集中させると他のご家族の取り分が乏しくなり、話し合いがまとまりにくくなります。会社の問題が、そのまま家族の問題になってしまう典型的なパターンです。
まずは「今いくらか」を知ることから始める
進め方はシンプルです。決算書をもとに現在の株価をおおよそ把握し、後継者に移すとしたらどれだけの負担が生じるかを試算します。そのうえで、役員退職金の支給時期に合わせた移転、計画的な生前贈与、持株会社や種類株式の活用、事業承継税制の検討など、自社に合う方法を比較していきます。どの方法にも要件や副作用があり、株価を下げること自体が目的になってしまうと、資金繰りや信用力を損なうこともあります。制度の要件や取扱いは改正されることもあるため、実行にあたっては最新の情報をご確認のうえ、税理士など専門家にご相談ください。
まとめ
株価対策をしていない会社にまず必要なのは、いきなり大きな手を打つことではなく、自社株の評価額を知り、承継の全体像を描くことです。評価額がわかれば、いつ・どの方法で移すのが現実的か、判断材料がそろいます。時間を味方につけられるかどうかで、選べる選択肢の幅は大きく変わります。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、自社株の現状把握から承継の進め方の設計、後継者不在の場合のM&Aまで、財務の視点で伴走しています。「そろそろ考えたほうがよいのだろうか」という段階でも構いません。お気軽にご相談ください。
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