TORUTEブログ
M&A
小さな店の事業譲渡で引き継げないものは?~1000万円以下の少額案件で見落としやすい許認可・賃貸契約など4つの手続き~
2026/09/15 09:47|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。1000万円以下の少額案件では、飲食店や美容室、小さな工場など「お店ごと引き継ぐ」形の事業譲渡がよく選ばれます。ところが、熊本の相談現場では「譲渡代金も決まって握手したのに、営業許可や店舗の契約が引き継げず、オープンが数か月遅れた」というお話を耳にすることがあります。事業譲渡は、会社そのものではなく「事業に必要なものを一つずつ移す」手続きです。そのため、自動的には引き継げないものがあります。今回は、少額案件で見落としやすい4つのポイントを整理します。

1. 営業許可などの許認可

飲食店の営業許可や理容・美容所の届出、古物商の許可などは、原則として「その人(その法人)」に対して出ているものです。事業譲渡で買い手に移る場合、多くの業種で買い手側があらためて申請や届出を行う必要があります。業種によっては事前の認可で承継できる制度もありますが、扱いは許認可ごとに異なります。検査や設備基準の確認に日数がかかることもあるため、引渡し日から逆算して、保健所など所管の窓口へ早めに確認しておくことが大切です。
2. 店舗・工場の賃貸借契約
地方の少額案件では、建物を借りて営業しているケースが大半です。事業譲渡で借主の名義を買い手に変えるには、原則として貸主(大家さん)の承諾が必要になります。「今の家賃のまま貸してもらえると思っていたら、名義変更の条件として家賃の見直しや保証金の差し入れを求められた」ということも起こり得ます。株式譲渡であれば借主の名義自体は変わりませんが、契約書に経営者の交代を届け出る条項があることもあるので、スキームにかかわらず契約書は必ず読み込みましょう。
3. 従業員の雇用
事業譲渡では、従業員の雇用契約も自動的には移りません。買い手の会社で働くことについて一人ひとりの同意が必要で、実務上は売り手側でいったん退職し、買い手側で新たに雇用する形が一般的です。小さなお店ほど「あの人がいるから常連さんが来る」という存在が大きいものです。給与や勤務条件がどう変わるのかを、なるべく早い段階で丁寧に説明できるよう、売り手と買い手ですり合わせておきましょう。
4. 取引先・リース・各種アカウントの名義
仕入先との取引契約、厨房機器やコピー機のリース、電話番号、予約サイトやキャッシュレス決済のアカウントなども、名義変更に相手方の同意や審査が必要なものが少なくありません。特にリースは「譲渡できない」契約になっていることが多く、残債の精算や再契約が必要になる場合があります。一覧表を作り、「誰の同意が必要か」「いつまでに手続きするか」を整理しておくと、引渡し後の混乱を防げます。
まとめ
1000万円以下の少額案件は、手続きが簡単そうに見える分、許認可・賃貸借契約・従業員・取引先の名義といった「自動的には移らないもの」が後回しになりがちです。譲渡価格の話と並行して、引き継ぎに必要な同意や申請の段取りを早めに固めておくことが、スムーズな承継の近道になります。制度や手続きの要否は業種や契約内容によって異なりますので、個別のケースは専門家にご相談ください。TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、小さなお店や会社の事業譲渡について、段取りの整理から契約書の確認まで一緒に進めています。お気軽にご相談ください。
破産を決める前に事業だけ譲れる?~熊本の相談現場で見る、事業譲渡が間に合うタイミングと4つの準備~
2026/09/12 09:34|カテゴリー:M&A、事業再生・廃業

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「もう限界かもしれない。会社は畳むしかないと思っている」――熊本市や八代市のご相談で、社長がそう口にされることがあります。ただ、お話を伺っていくと、会社そのものは整理するとしても、長年続けてきた事業や技術、従業員の雇用だけは第三者に引き継げる可能性が残っているケースが少なくありません。そして、その可能性は「いつ相談したか」で大きく変わります。今回は、破産という選択を決めてしまう前に知っておきたい、事業譲渡という道筋とタイミングについて整理します。

なぜ「決める前」が分かれ目になるのか
事業の価値は、資産の帳簿価額ではなく「動き続けていること」に宿ります。毎月入金してくれる取引先、現場を回せる従業員、更新されている許認可、この三つがそろって初めて、買い手は「引き継ぐ意味がある」と判断します。
逆にいえば、仕入が止まり、従業員が次の職場を探し始め、許認可の更新を見送った瞬間から、譲れるものは急速に減っていきます。熊本の相談現場で「もう少し早ければ選べた手がありました」と申し上げることになるのは、たいていこの段階を過ぎてからのご相談です。資金繰り表の先行きが厳しいと感じた時点――支払いが止まる前の段階が、実は一番選択肢が多い時期です。
破産手続に入ると何が変わるのか
破産を申し立てると、会社の財産の管理処分権は原則として裁判所が選んだ破産管財人に移ります。事業を誰にどう引き継ぐかも、債権者全体の利益という物差しで判断されることになり、社長の「この人に継いでほしい」という意向をそのまま通すことは難しくなります。
加えて、取引先や金融機関に状況が知られた後では、買い手候補の見方も変わります。同じ事業でも、平時に相対で交渉するのと、破綻が表面化した後に交渉するのとでは、条件面で差が出るのが実情です。制度上まったく道がなくなるわけではありませんが、主導権を持って進められるかどうかは、申立ての前後で大きく違ってきます。
早い段階なら選べる三つのルート

資金繰りに不安が出てきた段階でご相談いただくと、おおむね次のような方向を比較検討できます。
一つ目は、金融機関と話し合いながら返済条件を見直し、自力再建を目指す私的整理の道です。二つ目は、事業を引き継いでくれるスポンサーを探す再生型M&A。三つ目は、採算の取れる事業だけを新会社や譲受先に移し、残った債務は元の会社で整理する、いわゆる第二会社方式です。
いずれを選ぶにしても、金融機関との調整は避けて通れません。熊本県にも中小企業活性化協議会という公的な相談窓口があり、条件に応じて計画づくりや調整の支援を受けられる場合があります。どの制度を使えるかは会社の状況によって異なりますので、最新の要件は支援機関や専門家にご確認ください。
相談前に手元にそろえたい四つの資料
初回のご相談で方向性を絞り込むために、できれば次の四つをご用意ください。直近三期分の決算書、今後半年程度の資金繰り表、借入金の一覧(残高・返済額・保証や担保の状況)、そして従業員数と主な取引先・許認可の一覧です。
そろっていなくても構いません。手元にある分だけで結構ですし、「支払いがいつ止まりそうか」という感覚だけでも、打てる手は変わります。ご相談が早いほど、従業員の雇用や取引先との関係を守れる余地が広がる、というのが現場での実感です。
まとめ
破産か存続かは二者択一に見えますが、その間には、会社を整理しつつ事業だけを次につなぐという選択肢があります。ただしそれは、事業が動いているうちにしか使えない道でもあります。「まだ相談する段階ではない」と感じているときこそ、一度状況を整理してみる価値があります。
TORUTEは熊本市・八代市を拠点に、事業承継・M&A・事業再生のご相談をお受けしています。誰にも言えずに抱えていらっしゃる段階でも構いません。お気軽にご相談ください。
1000万円以下の会社の売却価格はどう決まる?~年買法の考え方と値付けで押さえたい4つのポイント~
2026/09/11 18:32|カテゴリー:M&A、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「うちの会社、いくらで売れるんでしょうか」。1000万円以下の少額案件のご相談では、最初にこの質問をいただくことがほとんどです。大きな会社のM&Aのように複雑な計算をするわけではありませんが、決算書の数字をそのまま当てはめると、売り手・買い手のどちらかが納得できない価格になりがちです。今回は、少額案件でよく使われる値付けの考え方と、熊本の相談現場で見てきた注意点をまとめます。

少額案件でよく使われる「年買法」とは

中小企業や小規模事業の売買では、「年買法(ねんがいほう)」と呼ばれる考え方が目安としてよく使われます。会社の純資産を時価で見直した金額に、営業利益の数年分を「のれん(目に見えない価値)」として上乗せする方法です。何年分を上乗せするかは、業種や事業の安定性、社長への依存度などで変わり、決まった答えはありません。あくまで交渉のスタートラインをつくるための物差しと考えるのが現実的です。
決算書の利益を「実態の利益」に直す
小さな会社では、社長の役員報酬を高めに設定していたり、社用車や保険など私的な性格の経費が混ざっていたりすることがよくあります。こうした項目を調整すると、決算書では赤字でも、実態としては利益が出ているケースも珍しくありません。反対に、社長がほぼ無給で現場に立っている飲食店や理美容店では、代わりの人を雇う人件費を差し引くと、利益が小さくなることもあります。買い手が引き継いだ後の姿で利益を見直すことが、値付けの出発点になります。
資産は時価で、負債は「見えないもの」まで
在庫や設備、保険積立金、不動産などは、帳簿の金額と実際の価値がずれていることが少なくありません。長く置いたままの在庫や古い機械は、帳簿ほどの価値がないと判断されることもあります。また、従業員の退職金、未払いの残業代、リース契約の残りなど、決算書に出てこない負債が後から見つかると、価格の引き下げや交渉の打ち切りにつながります。売り手側でも、事前にこうした点を洗い出しておくと話がスムーズに進みます。
価格以外の条件も「値段のうち」
少額案件では、金額だけでなく条件の組み合わせで合意に至ることが多くあります。たとえば、社長が一定期間残って引継ぎを手伝う、従業員の雇用を続ける、代金を分割で受け取る、個人保証を外してもらう、といった条件です。熊本市や八代市のご相談でも、「価格は少し下がっても、従業員とお客様をそのまま引き継いでくれる相手を選びたい」という売り手の方は少なくありません。手取り額だけでなく、何を守りたいかを整理しておくことが大切です。
まとめ
1000万円以下の少額案件の価格は、年買法などの目安をもとに、実態の利益への修正、資産と負債の見直し、価格以外の条件を組み合わせて決まっていきます。決算書だけで判断せず、早めに数字と条件を整理しておくことで、納得できる売却につながりやすくなります。具体的な評価の方法や税金の扱いは会社ごとに異なるため、専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、少額案件の値付けや売却の進め方のご相談をお受けしています。「まずは自分の会社がいくらくらいになるのか知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
最近の投稿
- 小さな店の事業譲渡で引き継げないものは?~1000万円以下の少額案件で見落としやすい許認可・賃貸契約など4つの手続き~
- その仲介会社は国に登録されている?~M&A支援機関登録制度と、補助金が使える相談先の見極め方~
- 補助金は採択されれば全額もらえる?~事業承継補助金で対象外になりやすい経費と4つの注意点~
- 破産を決める前に事業だけ譲れる?~熊本の相談現場で見る、事業譲渡が間に合うタイミングと4つの準備~
- 1000万円以下の会社の売却価格はどう決まる?~年買法の考え方と値付けで押さえたい4つのポイント~
- 事業承継は何歳から始める?~経営者の平均年齢と50代・60代・70代でやるべき準備~
- 補助金はいつ入金される?~事業承継・M&A補助金の「後払い」と、熊本の相談現場で見るつなぎ資金の備え~
- 銀行にリスケを申し込むとどうなる?~熊本の相談現場で見る、返済猶予を頼む前に整理したい4つのこと~
- 事業承継でM&Aを選ぶデメリットは?~熊本の相談現場で見る、1000万円以下の少額案件で後悔しやすい4つの落とし穴~
- マッチングサイトで直接やり取りしてもいい?~1000万円以下の少額案件で売り手が確認したい4つのこと~