TORUTEブログ

2026年9月

少額M&Aでも契約書(SPA)は必要?~1000万円以下の株式譲渡契約で確認したい4つの条項~

2026/09/30 08:40|カテゴリー:M&A

少額M&Aでも契約書(SPA)は必要?

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。1000万円以下の少額案件では「顔見知りどうしだし、契約書は簡単なもので十分」「ひな形をそのまま使えばいい」という声をよく聞きます。しかし、株式譲渡契約書(SPA:Share Purchase Agreement)は、売った後に何か起きたときの取り決めそのものです。金額が小さいからこそ、揉めたときの費用が売却代金に比べて重くなり、売り手の手取りが大きく目減りしかねません。今回は、少額M&Aの株式譲渡契約書で最低限確認したい4つの条項を、熊本の相談現場の視点で整理します。

株式譲渡契約書を前に売り手と買い手が専門家の説明を聞く様子

株式譲渡契約書(SPA)とは何か

株式譲渡契約書は、売り手が持つ会社の株式を買い手に譲る条件をまとめた最終契約書です。基本合意書(MOU)が「おおまかな方向性の確認」であるのに対し、SPAは法的な拘束力を持つ本番の契約で、譲渡する株式数と価格、代金の支払方法と時期、引渡し(クロージング)の条件、売り手が保証する事項、違反があったときの補償などを定めます。少額案件の全体の流れは1000万円以下のM&Aの進め方でも紹介していますが、SPAの締結は流れの終盤にあたり、それまでの交渉の結論を文字に落とす場面です。なお、株式ではなく事業だけを譲る場合は事業譲渡契約書になり、書く内容も変わります。どちらの形がよいかは株式譲渡と事業譲渡の違いもあわせてご覧ください。

少額案件でこそ確認したい4つの条項

少額M&Aの株式譲渡契約書で確認したい4つの条項

1つ目は譲渡価格と支払方法です。一括払いか分割払いか、分割なら支払いが止まったときにどうするかまで決めておきます。熊本の小規模案件では、買い手の資金事情から一部を後払いにする例もあり、この取り決めが曖昧だと代金が回収できない事態になりかねません。2つ目は表明保証です。売り手が「開示した決算書に誤りはない」「未払いの残業代や隠れた借入はない」などと保証する条項で、事実と違えば後で責任を問われます。3つ目はクロージングの前提条件で、株主総会や取締役会による譲渡承認、金融機関の同意、主要な取引先への説明などを、いつまでに誰が済ませるかを定めます。4つ目は補償(損害賠償)と競業避止です。補償の上限額と請求できる期間、売り手が近くで同じ商売を始めない約束の範囲と期間を確認します。

ひな形のまま使うと起きやすいトラブル

インターネットで手に入るひな形は大企業どうしの取引を前提にしていることが多く、少額案件にそのまま当てはめると不都合が出ます。よくあるのが、表明保証の範囲が広すぎて、売り手が把握しきれない細かな事項まで保証してしまうケースです。売却後に「聞いていない簿外債務があった」と言われ、受け取った代金の多くを返すことになれば、何のために売ったのか分からなくなります。逆に、補償の上限や請求期間を書き忘れると、何年たっても請求を受けるおそれが残ります。また、社長が売却後もしばらく会社に残って引継ぎをする場合、その期間と報酬をSPAか別の契約で決めておかないと、後で話が食い違います。引継ぎ期間の考え方は売ったら社長はいつまで残るかで詳しく触れています。

熊本の相談現場で見る、締結前の準備

熊本市や八代市の相談では、SPAの案文を受け取ってから慌てて中身を確かめる方が少なくありません。売り手が事前にしておきたいのは、会社の実態を正直に洗い出すことです。未払いの税金や社会保険料、口約束の取引条件、家族名義の資産の扱いなどを先に整理して開示しておけば、表明保証の範囲を絞りやすくなります。あわせて、契約書に貼る印紙や、株主名簿の書換えといった締結後の手続きも確認しておきましょう。条項の書き方ひとつで結果が変わるため、最終的な文言は弁護士などの専門家にご相談ください。

まとめ

株式譲渡契約書(SPA)は、少額のM&Aでも売却後の安心を左右する大切な書類です。譲渡価格と支払方法、表明保証、クロージングの前提条件、補償と競業避止の4つは、ひな形に頼らず自社の事情に合わせて確認しましょう。TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、1000万円以下の少額案件の条件整理から契約締結までを弁護士の視点も交えてお手伝いしています。契約書の中身に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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廃業するより売った方が手元に残る?~廃業とM&Aの費用・手取りの違いと、熊本の相談現場で見る判断の4つの目安~

2026/09/29 08:42|カテゴリー:M&A、事業再生・廃業

廃業するより売った方が手元に残る?廃業とM&Aの費用・手取りの違い

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「もう年だし、うちは廃業するしかない」。熊本市や八代市でご相談を受けていると、こうした言葉をよく耳にします。ただ、廃業にも思った以上の費用がかかり、M&Aで引き継いだ方が手元に残るお金が多くなる場面も少なくありません。今回は、廃業とM&Aでお金の残り方がどう違うのか、判断の目安を4つに分けて整理します。

閉店を考える店主夫婦に後継者候補とコンサルタントが話しかける様子

1. 廃業にも「たたむための費用」がかかる

廃業は「やめるだけ」と思われがちですが、実際には出ていくお金があります。店舗や事務所の原状回復工事、在庫や設備の処分費、リース契約の中途解約金、従業員への未払い賃金の精算、解散・清算の登記や税理士への報酬などです。熊本の相談現場でも、飲食店のテナント原状回復だけで数百万円の見積もりが出て、廃業の計画を見直したケースがありました。まず「たたむといくらかかるか」を概算することが出発点です。

2. 清算すると資産は安くしか売れない

廃業とM&Aで手元に残るお金の違いを比べた図解

廃業では、設備・車両・在庫を短期間で処分するため、帳簿上の金額よりかなり安い価格でしか売れないのが一般的です。取引先や許認可、従業員の技術といった目に見えない価値は、廃業すると一円にもなりません。一方、M&Aでは事業が動いたまま引き継がれるため、これらも含めて評価される余地があります。売却額が小さくても、あるいは0円譲渡でも、廃業費用を払わずに済むだけで手元の結果が変わることがあります(参考:事業譲渡が0円になるのはなぜ?)。

3. 税金のかかり方が違う

会社を清算して残った財産を株主が受け取る場合と、株式を売却して代金を受け取る場合とでは、税金の計算方法が異なります。一般的には、株式譲渡の方が税負担を抑えやすいといわれますが、会社の財産の状況や役員退職金の出し方によって結論は変わります。「どちらが得か」は個別の試算が欠かせませんので、税理士などの専門家にご相談ください。

4. 迷ったら「売れるか」を先に確かめる

廃業は一度決めると後戻りが難しい一方、M&Aの可能性を確かめることはいつでも止められます。赤字や借入があっても買い手がつくことはありますし、借入が重い場合は再生型のM&Aという道もあります(参考:再生か廃業か、どこで見極める?)。黒字のうちに動くほど選択肢は広がります(参考:「黒字なのに廃業」はなぜ起きる?)。

よくある質問:廃業費用に補助金は使えますか?

事業承継・M&A補助金には、事業を引き継いだ後などの廃業費用を対象とする枠が設けられています。要件や対象経費は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領をご確認ください(参考:会社をたたむ費用に補助金は使える?)。

まとめ

廃業とM&Aの違いは「続くか終わるか」だけではなく、手元に残るお金にも表れます。①廃業費用の概算、②資産が安くなること、③税金の違い、④売れるかの確認、の4点を並べて比べることで、後悔の少ない判断ができます。TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、廃業かM&Aかで迷っている段階からのご相談をお受けしています。「うちでも引き継ぎ先は見つかるのか」という段階でも構いません。お気軽にご相談ください。

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補助金に落ちたら次の公募で再挑戦できる?~事業承継・M&A補助金の不採択から見直したい4つのこと~

2026/09/28 15:04|カテゴリー:事業承継、補助金・助成金

補助金に落ちたら次の公募で再挑戦できる?

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。事業承継・M&A補助金の採択結果が公表されるこの時期、熊本の経営者の方から「不採択だったが、次の公募で再挑戦できるのか」というご相談が増えます。要件を満たしていれば、次回以降の公募で再申請できる場合が多いものの、同じ計画書をそのまま出し直しても結果は変わりにくいのが実情です。本記事では、不採択だった方が次の一手として何を見直すべきかを整理します。

社長と後継者がコンサルタントと事業計画書を見直す様子

不採択の通知が来たら最初に確認したいこと

不採択から再申請までの4ステップ

通知には、詳しい不採択理由が書かれていないことがほとんどです。そこで、公募要領の審査項目と提出した計画書を突き合わせ、どの項目で点数を落とした可能性があるかを推測します。再申請するかどうかは、「補助金がなくても承継やM&Aを進めるのか」「実施時期が次回の補助事業期間に合うか」の2点で判断するのがおすすめです。たとえば、専門家への報酬や設備の支払いが次回の交付決定前になると、補助対象外となる可能性があります。補助金を待つために承継の時期を遅らせては本末転倒です。次回公募の有無や日程は、最新の公募要領をご確認ください。

熊本の相談現場で見る、不採択になりやすい事業計画の共通点

熊本市や八代市で不採択となった計画書を拝見すると、共通点が見えてきます。一つ目は一般論が多いことです。「人口減少で市場が縮小する」「後継者不足が深刻」といった記述だけでは、自社固有の課題が伝わりません。審査する側は熊本の事情を知らない前提で読むため、商圏や取引先、競合の状況を具体的に書く必要があります。二つ目は数字の根拠不足です。「売上が15%伸びる」とだけ書き、客単価や受注件数がどう増えるのかを過去の実績と結びつけていない計画は説得力に欠けます。三つ目は承継やM&Aの具体性不足です。八代地域の農産物加工業で、「後継者が新商品を開発する」とだけ書かれ、誰が、いつ、どの販路で売るのかが空白になっている例がありました。単なる設備更新に見えないよう、承継後の姿を描くことが大切です。採択率の目安や不採択になりやすい申請の傾向は「事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?」でも詳しく解説しています。

次回公募で見直したい書類と加点項目、枠の選び直し

事業計画書だけでなく、承継の時期や内容を示す資料、決算書との整合性もあわせて見直しましょう。採否は僅差で分かれることもあるため、加点項目の取りこぼしがないかも確認します。賃上げの計画や経営革新計画の承認、パートナーシップ構築宣言など、準備次第で対応できるものがあるかもしれません。さらに、申請した枠が自社の取り組みに合っていたかも再検討したいところです。事業承継促進枠や経営革新枠など、枠の名称や要件、補助上限額は公募回によって変わることがあり、どの枠が適切かは個別事情により異なります。最新の公募要領で要件を確かめたうえで選び直してください。枠ごとの違いは「補助金はどの枠で申請する?」もあわせてご覧ください。

申請開始までの限られた期間でやること

公募開始から締切までは短いことが多く、要領の公開を待ってから動くと準備不足になりがちです。まず、電子申請に必要なGビズIDプライムが有効か、担当者の変更がないかを確認しましょう。新たに取得する場合は時間がかかることがあります。次に、認定経営革新等支援機関の関与が求められる場合は、前回と同じ機関に依頼するのか見直すのかを早めに決めます。そのうえで、経営者は自社の強みや承継への想い、支援機関は計画の構成と数字の検証というように役割分担とスケジュールを書き出し、締切から逆算して進めると慌てずに済みます。事前準備の詳細は「事業承継補助金は公募開始後で間に合う?」で整理しています。

まとめ

不採択は事業の否定ではなく、計画を磨き直す機会です。落ちた理由を推測し、一般論を自社の具体的な話に置き換え、数字の根拠を固め、枠と加点項目を見直すことが再挑戦の基本です。制度の内容や日程、要件は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領をご確認いただき、判断に迷う点は専門家にご相談ください。TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、補助金の再申請を含めた事業承継・M&Aのご相談をお受けしています。前回の計画書を一緒に振り返るところからでも対応できますので、お気軽にご相談ください。

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