TORUTEブログ
2026年8月
会社を整理したら社長の個人保証はどうなる?~経営者保証ガイドラインと、再生型M&Aで事業を残す方法~
2026/08/21 09:49|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「会社の資金繰りが限界に近い。もし整理することになったら、自分が背負っている個人保証はどうなるのか」——再生のご相談で、経営者の方が最後まで口にできずにいるのが、この不安です。会社の借入に個人保証を入れている以上、会社をたたんだら自宅も預金もすべて失い、家族に迷惑をかける。そう思い込んで動けなくなり、結果として選べる手が減っていく方を、熊本でも数多く見てきました。ここでは、経営者保証がどう扱われるのか、そして保証を整理しながら事業を残す道について整理します。
結論:個人保証は「必ず全額を背負う」ものではない
まず知っていただきたいのは、会社の債務整理や再生の場面で、経営者の個人保証を金融機関との話し合いで整理する仕組みが用意されているという点です。それが「経営者保証に関するガイドライン」です。これは法律ではなく、金融機関と中小企業の団体が申し合わせた自主的なルールですが、多くの金融機関がこれに沿って対応しています。裁判所の手続き(法的整理)ではなく、金融機関との協議(私的整理)で保証債務を整理できるため、条件が整えば、経営者が生活の基盤を一定程度残したまま、保証責任にけじめをつけられる可能性があります。
ガイドラインで何が変わるのか

ポイントは大きく三つです。第一に、手元に残せる財産の範囲が、法的な破産手続きの原則より広く認められる余地があること。早期に決断して事業価値の毀損を防いだ場合には、その分を評価して残存資産の範囲を検討する運用が想定されています。第二に、原則として自宅を含めた資産の扱いを、金融機関との協議のなかで個別に検討できること。第三に、この枠組みで整理した場合、いわゆる信用情報(ブラックリスト)に登録されない取扱いとされている点です。ただし、これらはすべて「誠実に情報を開示していること」「財産を隠していないこと」などの要件を満たすことが前提であり、どこまで認められるかは債権者との協議と個別事情によって異なります。
保証を整理しながら事業を残す「再生型M&A」
もう一つ知っておいていただきたいのが、会社を清算せずに事業だけを引き継ぐ選択肢です。スポンサーとなる企業に事業を譲渡し、譲渡代金を債務の返済に充てたうえで、残った保証債務をガイドラインの枠組みで整理する。この組み合わせであれば、従業員の雇用と取引先との関係を残しながら、経営者個人の負担にも区切りをつけられる可能性があります。熊本でも、債務超過であっても技術や顧客基盤、許認可に価値を認めて手を挙げるスポンサーは実際に存在します。「赤字だから買い手はいない」と決めつける前に、事業のどこに価値があるのかを整理することが出発点になります。
間に合うかどうかは「相談の早さ」で決まる
これらの選択肢には共通の前提があります。それは、支払いが止まる前に動き出していることです。手形の不渡りや取引停止が起きてしまうと、取引先も従業員も離れ、事業の価値そのものが急速に失われます。そうなってから相談に来られても、残せたはずのものが残せません。各都道府県には中小企業活性化協議会という公的な相談窓口があり、初期の相談は無料で受けられます。まずはそこで現状を整理し、必要に応じて弁護士・専門家と再生計画を検討する流れが現実的です。「あと三か月もつか分からない」という段階でも、選べる手はまだ残っていることが少なくありません。
まとめ
個人保証があるからといって、すべてを失うと決まっているわけではありません。経営者保証に関するガイドラインという枠組みがあり、再生型M&Aと組み合わせれば、事業と雇用を残しながら保証債務を整理できる可能性があります。ただし、適用の可否や残せる財産の範囲は債権者との協議と個別事情により異なり、制度の運用も見直されることがありますので、判断の前に最新の情報をご確認ください。TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継・M&A・再生のご相談をお受けしています。数字を見せるのが怖い段階でも構いません。まだ動ける時間があるうちに、お気軽にご相談ください。具体的な進め方については、必ず専門家にご相談ください。
M&Aは安く済ませられる?~1000万円以下の少額案件でかかる費用と『安い会社』の見極め方~
2026/08/20 08:45|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「M&Aは費用が高そうだから、うちのような規模では無理ではないか」「安く買える会社があると聞いたが、本当に大丈夫なのか」。少額案件のご相談では、買い手側からこうしたお声をよくいただきます。譲渡価格が数百万円という案件が実際に流通する一方で、価格の安さだけを見て進めた結果、あとから想定外の負担が出てくることもあります。今回は、1000万円以下の少額案件を念頭に、譲渡価格以外にかかる費用と、「安い会社」を見極めるときの視点を整理します。
「M&Aが安い」には2つの意味がある
まず整理したいのは、「安い」という言葉が指しているものです。ひとつは譲渡価格そのものが安いこと。もうひとつはM&Aを進めるためにかかる費用(手数料や調査費用)を抑えることです。この2つは別の話で、対策も異なります。譲渡価格が数百万円でも、進め方によっては手続きにかかる費用のほうが大きくなることがあります。逆に、価格が相場より明らかに安い案件は、その理由を確認しないまま進めると、買った後に負担が表面化する場合があります。
少額案件でも、譲渡価格以外に費用はかかる
見落とされやすいのが、譲渡価格とは別に発生する費用です。仲介会社やアドバイザーへの手数料には最低手数料が設定されていることが多く、譲渡価格が小さいほど、価格に対する費用の割合は大きくなります。マッチングサイトを使う場合も、成約時の手数料体系を事前に確認しておく必要があります。

「価格100万円だから総額100万円」ではありません。案件を検討する段階で、総額でいくらかかるのかを見積もっておくことが、資金計画のうえでも大切です。
「安い会社」には必ず理由がある
価格が低く設定されている背景には、赤字が続いている、社長個人に依存していて引き継ぎが難しい、設備が老朽化している、主要取引先が1社に偏っている、といった事情があります。これ自体は珍しいことではなく、買い手の資源と組み合わせれば伸びる会社もあります。問題は、価格に反映されていない負担が隠れている場合です。未払残業代、簿外の債務や保証、係争中の案件、必要な許認可が承継できない形になっているといった点は、後から金額に直結します。売り手に悪意がなく、単に整理されていないだけというケースも実務では少なくありません。
費用を抑えつつ、失敗を避けるための進め方
費用を抑える方向と、リスクを確認する方向は、必ずしも対立しません。調査(デューデリジェンス)は規模に応じて論点を絞ることができ、少額案件では、簿外債務・労務・許認可・契約の承継といった「金額に跳ね返る項目」に的を絞るだけでも実効性があります。また、株式譲渡ではなく事業譲渡の形をとることで、引き継ぐ範囲を限定できる場合もあります。どのスキームが適するかは、許認可の種類や取引先との契約内容によって変わりますので、案件ごとの検討が必要です。あわせて、事業承継・M&A補助金の専門家活用枠など、専門家費用の一部を補助する制度が使えないかも確認する価値があります。ただし対象要件や公募時期は変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認ください。
まとめ
少額案件のM&Aは、価格が小さいぶん「手軽なもの」と見られがちですが、確認すべき論点は規模が大きい案件と大きく変わりません。譲渡価格に加えて手数料や調査費用を含めた総額で判断すること、そして価格が安い理由を確認したうえで納得して進めることが、結果的に一番の費用対効果につながります。個別の事情によって適切な進め方は異なりますので、判断に迷う点は専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、少額案件を含む事業承継・M&Aのご相談を承っています。「この案件をどう見ればよいか」「総額でいくらかかるのか」といった段階のご相談でも構いません。お気軽にご相談ください。
M&Aの仲介手数料に補助金は使える?~事業承継・M&A補助金『専門家活用枠』の対象と申請の流れ~
2026/08/19 08:43|カテゴリー:事業承継

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「会社を譲りたいが、仲介会社やアドバイザーに支払う費用が読めない」「専門家に頼むほどの体力が、いまの会社にあるだろうか」。M&Aを検討し始めた経営者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。実は、M&Aのときに専門家へ支払う費用の一部は、国の補助金で手当てできる場合があります。それが「事業承継・M&A補助金」の専門家活用枠と呼ばれる枠組みです。今回は、この枠がどんな費用を対象にしているのか、申請はどう進むのか、そして使うときに注意したい点を、熊本の相談現場の視点で整理します。
結論:M&Aの専門家費用は、補助の対象になり得る
先に結論からお伝えします。事業承継・M&A補助金には、経営資源を引き継ぐ側・引き継がせる側の双方が使える枠が用意されており、そのうち専門家活用枠は、M&Aの成立に向けて外部の専門家へ支払った費用を対象としています。売り手(譲渡側)でも買い手(譲受側)でも申請でき、譲渡が成立しなかった場合でも一定の範囲で認められる仕組みが設けられてきました。
補助率や補助上限額、対象となる期間は公募回ごとに見直されます。金額の目安だけで判断せず、必ずその回の公募要領で確認することが前提になります。それでも「専門家費用は自己負担しかない」と思い込んだまま検討をやめてしまうのは、選択肢を自ら狭めることになります。
対象になる費用・ならない費用
おおまかに言えば、対象になるのはM&Aを前に進めるために外部へ支払う費用です。仲介手数料やファイナンシャル・アドバイザー(FA)への報酬、企業概要書の作成やバリュエーション(企業価値評価)にかかる費用、デューデリジェンス(買収監査)の費用、契約書のリーガルチェック費用などが典型例です。
一方で、社内の人件費、日常的な顧問料、会社の運転資金や設備の購入費用といった、M&Aと直接結びつかない支出は対象外とされるのが一般的です。また、支援機関の登録状況など、依頼先に関する要件が設けられている場合もあります。「誰に払ったか」「何のために払ったか」の両方が問われる、と考えておくとイメージしやすいでしょう。
申請の流れ:交付決定の前に契約しないこと

実務で最も多い失敗が、交付決定を受ける前に契約や支払いを済ませてしまうケースです。補助金は原則として、交付決定後に発生した経費が対象になります。話が動き出してから慌てて申請しても間に合わないことがあるため、専門家に依頼する段階から補助金の利用を視野に入れておく必要があります。
gBizIDプライムの取得には一定の日数がかかりますので、検討を始めた時点で準備しておくと安心です。認定経営革新等支援機関や登録支援機関との関わり方も、公募回によって求められる内容が異なります。
使う前に確認しておきたいこと
補助金はあくまで費用の一部を後から補うものであり、いったんは自社で立て替える必要があります。資金繰りへの影響を見込んでおきましょう。また、採択されなかった場合にM&A自体をどうするのか、あらかじめ方針を決めておくことも大切です。「補助金が通ったら進める」という前提だと、相手先との交渉が止まってしまいます。
さらに、補助金には実績報告や証拠書類の保管といった事後の手続きが伴います。見積書・契約書・請求書・振込記録の整合が取れていないと、対象と認められないこともあります。書類は最初から残す前提で進めてください。
まとめ
事業承継・M&A補助金の専門家活用枠は、M&Aの専門家費用の負担を軽くする有力な選択肢です。ただし、対象経費の範囲、交付決定前の契約の扱い、補助率や上限額といった要件は公募回ごとに変わります。ご検討の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&Aのご相談をお受けしています。補助金を使えるかどうかは会社の状況やスケジュールによって異なりますので、「うちの場合はどうか」という段階からで構いません。判断に迷われる点があれば専門家にご相談いただき、その一つとして当社もお気軽にご相談ください。
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