TORUTEブログ
2026年8月
再生の相談はどこから始める?~中小企業活性化協議会の役割と、熊本の相談現場で見る使い分け~
2026/08/31 11:42|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「資金繰りが苦しいが、まだ会社をたたむつもりはない」——そう考えたとき、最初にどこへ相談すればよいのか分からない、というご相談をよくいただきます。金融機関に切り出すのは気が重い、かといって誰に話せばよいのか見当がつかない、というお気持ちはよく分かります。こうした場面で公的な入口になるのが「中小企業活性化協議会」です。名前は聞いたことがあっても、実際に何をしてくれる場所なのかまでは知られていません。今回は、協議会の役割と、民間の専門家との使い分けについて整理します。

中小企業活性化協議会とは何をするところか
中小企業活性化協議会は、各都道府県に設置されている公的な相談窓口です。熊本県にも設置されており、収益力の改善や事業再生、再チャレンジに関する相談を受け付けています。中立的な立場で経営者と金融機関の間に入り、返済条件の見直しを含む再生計画づくりを支援するのが大きな役割です。
ポイントは、協議会が「経営者の味方」でも「金融機関の味方」でもない、中立の調整役だという点です。だからこそ、複数の金融機関から借入がある会社でも、協議会が間に入ることで話をまとめやすくなります。相談自体は無料で受け付けられているのが一般的ですが、支援の内容や費用の扱いは案件の段階によって異なりますので、詳細は熊本県の窓口にご確認ください。
相談から再生計画までの大まかな流れ

実際の進み方は会社の状況によって変わりますが、大きくは「相談」「窓口での課題整理」「本格的な計画づくり」「金融機関との調整」という順に進みます。いきなり全ての取引金融機関を集めた話し合いが始まるわけではなく、まずは経営者だけで相談に行き、現状を整理する段階から入れる点は知っておいてよいところです。
相談したからといって、必ず再生手続へ進まなければならないわけでもありません。話してみた結果、条件変更だけで持ち直せると分かることもあれば、逆に早めに事業譲渡やスポンサー探しへ舵を切ったほうがよい、と判断が固まることもあります。判断材料を増やすための場だと捉えていただくのが実態に近いと思います。
協議会が向くケース、民間の専門家と進めたほうがよいケース
借入先が複数あり、返済条件の見直しを金融機関に納得してもらう必要がある場合は、協議会の中立性が効いてきます。一方で、スポンサーとなる譲受企業を探す、事業の一部だけを切り出して譲渡するといった、相手先の開拓を伴う動きは、M&Aの実務に慣れた民間の専門家と組んだほうが進みやすい場面が多くあります。
実際には「協議会か民間か」の二者択一ではなく、協議会で金融機関との調整を進めながら、並行して譲受候補を探すという組み合わせも取られます。どの組み合わせが適切かは、借入の状況、事業の収益力、時間的な余裕によって変わりますので、個別事情に応じて専門家にご相談ください。
相談前に手元にそろえておきたいもの
相談の場で話が早く進むのは、直近3期分の決算書、借入の一覧(金融機関名・残高・返済条件)、そして向こう数か月の資金繰りの見通しが手元にある場合です。特に資金繰り表は、いつまでに何を決めなければならないのかという時間軸をはっきりさせてくれます。
逆に言えば、資料が完璧にそろうまで待つ必要はありません。相談が遅れるほど選べる手段は減っていきます。整理しきれていない状態でも、まず現状を話すところから始めていただくのが現実的です。
まとめ
中小企業活性化協議会は、資金繰りが厳しくなった会社が最初に相談できる公的な窓口です。中立の調整役として金融機関との話をまとめる役割を担う一方、譲受先探しのような動きは民間の専門家と組み合わせるのが実務的です。いずれにせよ、動き出しが早いほど選択肢は多く残ります。
なお、制度の運用や支援の内容は見直されることがありますので、実際に利用される際は最新の情報をご確認ください。金額や要件についても個別事情により異なります。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業再生や事業承継、M&Aのご相談をお受けしています。「まだ相談する段階ではないかもしれない」という状態でも構いません。お気軽にご相談ください。
無償で会社を譲り受けても大丈夫?~1000万円以下の少額案件で買う側が確認したい4つの点~
2026/08/30 10:05|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「無償でいいから引き取ってほしい」——1000万円以下の少額案件では、こうした声を聞くことが珍しくありません。買う側から見れば、元手がかからずに事業が手に入る話に見えます。ただ、実際に無償の事業譲渡が動き出すと、金額がゼロであることと、負担がゼロであることは別だと気づく場面が出てきます。今回は、無償あるいはそれに近い金額で会社や事業を譲り受ける側が、話を進める前に確認しておきたい点を整理します。

なぜ「無償で譲りたい」という話が出るのか
譲る側の事情はさまざまですが、多いのは、後継者がおらず、廃業すると原状回復費用や従業員の退職金でかえって持ち出しになるという状況です。誰かが引き継いでくれるなら、価格にはこだわらないという判断になります。つまり無償の案件は、事業そのものに価値がないという意味とは限らず、譲る側が「早く確実に引き継ぎたい」ことを優先した結果として出てくることがあります。一方で、赤字が続いている、借入が重い、設備の更新時期が迫っているといった理由で価格がつかないケースもあり、どちらなのかを見分けることが最初の作業になります。
引き継ぐのは、資産だけではない
株式譲渡の形で会社ごと引き継ぐ場合、帳簿に載っていない負担も一緒に移ります。未払残業代、退職金の積立不足、係争中の案件、リース契約の残債などが典型です。事業譲渡の形であれば、引き継ぐ資産と契約を選べる分、こうした負担を切り分けやすくなりますが、その代わり取引先との契約や許認可を結び直す必要が出てきます。無償だからと簡単に考えず、少額案件であっても、決算書と主要な契約書、従業員の雇用条件は最低限確認しておきたいところです。
無償でも税金や費用は発生し得る
価格がゼロでも、手続きに伴う費用はかかります。登記や名義変更の実費、専門家に依頼する費用のほか、譲り受ける財産の内容によっては税務上の取扱いが問題になることもあります。無償や著しく低い価格での取引は、税務上は時価で評価し直される考え方があるため、法人が受け取る場合と個人が受け取る場合とで扱いが変わります。金額の大小にかかわらず、契約の形を決める前に税理士など専門家にご相談ください。個別事情により結論は異なります。
引き継いだ後に回る資金があるか
買う側が見落としやすいのが、譲り受けた後の運転資金です。取得費がゼロでも、仕入や人件費は翌月から発生します。売掛金の回収まで数か月かかる商売であれば、その間の資金を自分で用意しなければなりません。また、譲る側の社長が個人保証している借入がある場合、引き継ぐのか、金融機関と交渉して外すのかを事前に決めておく必要があります。取得価格よりも、引き継いだ後の数か月をどう乗り切るかのほうが、実際には重要になる場面が多いといえます。
まとめ

無償の事業譲渡は、譲る側にも買う側にも合理性がある選択肢です。ただ、価格がゼロであることは、負担がゼロであることを意味しません。譲りたい理由、簿外の負担、税務上の取扱い、引き継いだ後の資金という4つの点を確認したうえで判断すれば、少額案件でも納得のいく引き継ぎにつながります。制度や税務の取扱いは個別事情により異なりますので、実際に進める際は専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、事業承継とM&Aのご相談をお受けしています。譲る側・譲り受ける側のどちらの立場でも、まずは現状を整理するところからお手伝いします。お気軽にご相談ください。
承継後の設備投資に補助金は使える?~『経営革新枠』の対象と申請前の3つの準備~
2026/08/29 09:58|カテゴリー:事業承継、補助金・助成金

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
事業承継の補助金というと、「引き継ぐときの費用を助けてくれるもの」というイメージを持たれている方が多いように感じます。ところが実際にご相談をお受けしていると、会社を継いだ後、あるいは会社を買った後にこそお金が必要になる、という場面のほうが多いのが実情です。古くなった設備を入れ替えたい、新しい商品ラインを立ち上げたい、これまで手をつけていなかった販路を開拓したい。そうした「承継をきっかけにした新しい取組み」を後押しする枠が、事業承継・M&A関連の補助金には用意されています。今回は、いわゆる経営革新の枠について、どんな取組みが対象になるのか、申請の前に何を整理しておくべきかを、熊本の相談現場での感覚を交えて整理してみます。

「承継したこと」そのものが申請の入口になる
この枠のいちばんの特徴は、承継や引継ぎがあったこと自体を要件の起点にしている点です。親族内で代表を交代した、従業員へ引き継いだ、あるいはM&Aで他社の事業を譲り受けた——そうした形で経営の担い手が変わったことを前提に、新しい経営者が挑戦する取組みを支援する、という組み立てになっています。
ですので、「補助金があるから何か新しいことを考えよう」という順番ではなく、「承継にあたってこういうことをやりたい」という中身が先にあるほうが、話は圧倒的に進めやすくなります。承継の予定時期と、やりたい取組みの時期の関係も要件に関わってきますので、代表交代の日付や譲渡の実行日は早い段階で整理しておくことをおすすめします。なお、枠の名称や区分は公募回ごとに見直されることがありますので、実際に検討される際は最新の公募要領をご確認ください。
対象になりやすい取組み、なりにくい取組み
対象になりやすいのは、承継後の経営を前に進めるための投資です。生産設備や機械の導入、店舗や工場の改修、新しいサービスを始めるためのシステム構築、新商品の開発にかかる外注費、販路開拓のための広告や展示会出展などが典型でしょう。あわせて、旧来の事業の一部を整理しながら新しい柱に軸足を移す、といった動きが評価される場面もあります。
一方で、単なる運転資金の穴埋め、既存事業をそのまま続けるための維持費用、不動産そのものの取得といったものは、対象外とされることが一般的です。「今ある赤字を埋めたい」という動機で申請を検討されるケースもありますが、この枠の趣旨とは方向が違うため、その場合は再生や資金繰りの観点から別の手立てを検討したほうが現実的です。何が対象経費になるかは公募回や取組み内容によって細かく異なりますので、個別の判断は専門家にご相談ください。
申請前に整理しておきたい3つのこと

実務でつまずきやすいのは、書類そのものより準備の順番です。第一に、gBizIDプライムの取得。電子申請の入口になるもので、発行までに一定の日数がかかりますから、公募が始まってから慌てると間に合いません。第二に、認定経営革新等支援機関などの支援先との連携。計画の作り込みや確認を求められる場面があり、早めに相談先を決めておくと進行が安定します。第三に、承継の事実を示す資料。登記事項証明書や株主名簿、譲渡契約書など、「たしかに経営者が代わった(代わる)」ことを裏づける書類は、思っている以上に幅広く求められます。
そしてもうひとつ、見落とされがちなのが「交付決定より前に発注しない」という原則です。採択の見込みが立った気になって先に契約してしまうと、その費用が対象外になってしまうことがあります。設備の納期が長い業種ほど、ここは慎重に進めたいところです。
補助金だけで承継の絵は描けない
熊本でご相談をお受けしていて感じるのは、補助金は「承継計画を後押しする道具」であって、承継そのものの答えではない、ということです。誰に引き継ぐのか、株式や個人保証をどう整理するのか、従業員や取引先にいつ伝えるのか。この土台が固まっていないまま補助金の話だけが先行すると、計画書の中身が薄くなり、結果として採択にもつながりにくくなります。
逆に、承継の骨格が定まっている会社は、「その承継を機に何をするか」が自然と言葉になりますので、申請書も書きやすくなります。補助金を検討するタイミングは、承継の相談を始めるタイミングと重ねてしまうのがおすすめです。国の予算や制度は年度ごとに動きますので、具体的な公募時期や補助率、上限額については必ず最新の公募要領をご確認ください。
まとめ
承継後の新しい挑戦を支える枠は、設備投資や新事業、販路開拓といった「前に進むための費用」を対象にしています。申請にあたっては、gBizIDの取得、支援機関との連携、承継を裏づける資料の準備という三つを早めに動かしておくこと、そして交付決定前の発注を避けることが実務上の要点です。要件や金額は公募回や個別事情により異なりますので、最新の公募要領をご確認いただくとともに、判断に迷う場面では専門家にご相談ください。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&A、承継後の経営計画づくりのご相談をお受けしています。「うちの承継のやり方で補助金の対象になるのだろうか」「そもそも何から手をつければよいか分からない」といった段階でも構いません。お気軽にご相談ください。
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