TORUTEブログ
2026年9月
破産を決める前に事業だけ譲れる?~熊本の相談現場で見る、事業譲渡が間に合うタイミングと4つの準備~
2026/09/12 09:34|カテゴリー:M&A、事業再生・廃業

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「もう限界かもしれない。会社は畳むしかないと思っている」――熊本市や八代市のご相談で、社長がそう口にされることがあります。ただ、お話を伺っていくと、会社そのものは整理するとしても、長年続けてきた事業や技術、従業員の雇用だけは第三者に引き継げる可能性が残っているケースが少なくありません。そして、その可能性は「いつ相談したか」で大きく変わります。今回は、破産という選択を決めてしまう前に知っておきたい、事業譲渡という道筋とタイミングについて整理します。

なぜ「決める前」が分かれ目になるのか
事業の価値は、資産の帳簿価額ではなく「動き続けていること」に宿ります。毎月入金してくれる取引先、現場を回せる従業員、更新されている許認可、この三つがそろって初めて、買い手は「引き継ぐ意味がある」と判断します。
逆にいえば、仕入が止まり、従業員が次の職場を探し始め、許認可の更新を見送った瞬間から、譲れるものは急速に減っていきます。熊本の相談現場で「もう少し早ければ選べた手がありました」と申し上げることになるのは、たいていこの段階を過ぎてからのご相談です。資金繰り表の先行きが厳しいと感じた時点――支払いが止まる前の段階が、実は一番選択肢が多い時期です。
破産手続に入ると何が変わるのか
破産を申し立てると、会社の財産の管理処分権は原則として裁判所が選んだ破産管財人に移ります。事業を誰にどう引き継ぐかも、債権者全体の利益という物差しで判断されることになり、社長の「この人に継いでほしい」という意向をそのまま通すことは難しくなります。
加えて、取引先や金融機関に状況が知られた後では、買い手候補の見方も変わります。同じ事業でも、平時に相対で交渉するのと、破綻が表面化した後に交渉するのとでは、条件面で差が出るのが実情です。制度上まったく道がなくなるわけではありませんが、主導権を持って進められるかどうかは、申立ての前後で大きく違ってきます。
早い段階なら選べる三つのルート

資金繰りに不安が出てきた段階でご相談いただくと、おおむね次のような方向を比較検討できます。
一つ目は、金融機関と話し合いながら返済条件を見直し、自力再建を目指す私的整理の道です。二つ目は、事業を引き継いでくれるスポンサーを探す再生型M&A。三つ目は、採算の取れる事業だけを新会社や譲受先に移し、残った債務は元の会社で整理する、いわゆる第二会社方式です。
いずれを選ぶにしても、金融機関との調整は避けて通れません。熊本県にも中小企業活性化協議会という公的な相談窓口があり、条件に応じて計画づくりや調整の支援を受けられる場合があります。どの制度を使えるかは会社の状況によって異なりますので、最新の要件は支援機関や専門家にご確認ください。
相談前に手元にそろえたい四つの資料
初回のご相談で方向性を絞り込むために、できれば次の四つをご用意ください。直近三期分の決算書、今後半年程度の資金繰り表、借入金の一覧(残高・返済額・保証や担保の状況)、そして従業員数と主な取引先・許認可の一覧です。
そろっていなくても構いません。手元にある分だけで結構ですし、「支払いがいつ止まりそうか」という感覚だけでも、打てる手は変わります。ご相談が早いほど、従業員の雇用や取引先との関係を守れる余地が広がる、というのが現場での実感です。
まとめ
破産か存続かは二者択一に見えますが、その間には、会社を整理しつつ事業だけを次につなぐという選択肢があります。ただしそれは、事業が動いているうちにしか使えない道でもあります。「まだ相談する段階ではない」と感じているときこそ、一度状況を整理してみる価値があります。
TORUTEは熊本市・八代市を拠点に、事業承継・M&A・事業再生のご相談をお受けしています。誰にも言えずに抱えていらっしゃる段階でも構いません。お気軽にご相談ください。
1000万円以下の会社の売却価格はどう決まる?~年買法の考え方と値付けで押さえたい4つのポイント~
2026/09/11 18:32|カテゴリー:M&A、企業価値評価・株価

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「うちの会社、いくらで売れるんでしょうか」。1000万円以下の少額案件のご相談では、最初にこの質問をいただくことがほとんどです。大きな会社のM&Aのように複雑な計算をするわけではありませんが、決算書の数字をそのまま当てはめると、売り手・買い手のどちらかが納得できない価格になりがちです。今回は、少額案件でよく使われる値付けの考え方と、熊本の相談現場で見てきた注意点をまとめます。

少額案件でよく使われる「年買法」とは

中小企業や小規模事業の売買では、「年買法(ねんがいほう)」と呼ばれる考え方が目安としてよく使われます。会社の純資産を時価で見直した金額に、営業利益の数年分を「のれん(目に見えない価値)」として上乗せする方法です。何年分を上乗せするかは、業種や事業の安定性、社長への依存度などで変わり、決まった答えはありません。あくまで交渉のスタートラインをつくるための物差しと考えるのが現実的です。
決算書の利益を「実態の利益」に直す
小さな会社では、社長の役員報酬を高めに設定していたり、社用車や保険など私的な性格の経費が混ざっていたりすることがよくあります。こうした項目を調整すると、決算書では赤字でも、実態としては利益が出ているケースも珍しくありません。反対に、社長がほぼ無給で現場に立っている飲食店や理美容店では、代わりの人を雇う人件費を差し引くと、利益が小さくなることもあります。買い手が引き継いだ後の姿で利益を見直すことが、値付けの出発点になります。
資産は時価で、負債は「見えないもの」まで
在庫や設備、保険積立金、不動産などは、帳簿の金額と実際の価値がずれていることが少なくありません。長く置いたままの在庫や古い機械は、帳簿ほどの価値がないと判断されることもあります。また、従業員の退職金、未払いの残業代、リース契約の残りなど、決算書に出てこない負債が後から見つかると、価格の引き下げや交渉の打ち切りにつながります。売り手側でも、事前にこうした点を洗い出しておくと話がスムーズに進みます。
価格以外の条件も「値段のうち」
少額案件では、金額だけでなく条件の組み合わせで合意に至ることが多くあります。たとえば、社長が一定期間残って引継ぎを手伝う、従業員の雇用を続ける、代金を分割で受け取る、個人保証を外してもらう、といった条件です。熊本市や八代市のご相談でも、「価格は少し下がっても、従業員とお客様をそのまま引き継いでくれる相手を選びたい」という売り手の方は少なくありません。手取り額だけでなく、何を守りたいかを整理しておくことが大切です。
まとめ
1000万円以下の少額案件の価格は、年買法などの目安をもとに、実態の利益への修正、資産と負債の見直し、価格以外の条件を組み合わせて決まっていきます。決算書だけで判断せず、早めに数字と条件を整理しておくことで、納得できる売却につながりやすくなります。具体的な評価の方法や税金の扱いは会社ごとに異なるため、専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、少額案件の値付けや売却の進め方のご相談をお受けしています。「まずは自分の会社がいくらくらいになるのか知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
事業承継は何歳から始める?~経営者の平均年齢と50代・60代・70代でやるべき準備~
2026/09/10 12:29|カテゴリー:事業承継

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「事業承継は、まだ元気なうちは考えなくていい」「もう少し歳をとってからで十分」——熊本市や八代市でご相談をお受けしていると、こうした声をよく耳にします。ですが実際には、準備を始める年齢が早いほど、選べる道は広がります。今回は、経営者・後継者の年齢の実態と、50代・60代・70代でそれぞれ何を準備しておくべきかを、熊本の相談現場の視点で整理します。

経営者の平均年齢はどのくらい?高齢化の実態
全国の調査では、中小企業の経営者の年齢は年々上がり続けており、平均年齢は60歳を超えているとされています。とくに問題になっているのが、後継者が決まらないまま経営者だけが高齢になっていく「後継者不在」の状態です。熊本県内でも、業績は堅調なのに「継ぐ人がいない」という理由だけで廃業を選ばざるを得ないケースが少なくありません。
平均年齢が上がっているということは、それだけ「まだ承継の準備をしていない会社」が多いということでもあります。だからこそ、平均に流されず、ご自身の年齢と会社の状況から逆算して動き出すことが大切です。
年齢別に見る、いつ・何を準備する?
事業承継の準備には、一般に5年から10年かかるといわれます。年代ごとに「今やっておきたいこと」を押さえておきましょう。
50代でやっておきたいこと
まだ現役感の強い50代ですが、実はここが最も選択肢の広い時期です。後継者候補を見極め、育て始めるのに十分な時間があります。親族に継ぐ意思があるのか、社内に候補がいるのか、あるいは第三者への譲渡(M&A)も視野に入れるのか——この段階で方向性の当たりをつけておくと、後の動きが格段にスムーズになります。
60代で進めたいこと
60代は、方向性を「実行」に移していく時期です。後継者が決まっているなら、株式や資産の移転、金融機関との経営者保証の扱い、取引先への引き継ぎなどを計画的に進めます。まだ後継者が決まっていない場合は、この時期に第三者承継(M&A)を含めて具体的に検討を始めると、慌てずに相手を探せます。
70代から優先したいこと
70代に入ったら、「会社を止めない」ことを最優先に考えます。体調の変化などで急に承継を迫られると、選べる道は一気に狭まってしまいます。後継者がいなければ、廃業の前に「引き継いでくれる相手がいないか」を専門家と一緒に探すことをおすすめします。少額でも第三者に引き継げれば、従業員の雇用や取引先との関係を残せる可能性があります。

承継の方法で「年齢の考え方」は変わる
ひとくちに事業承継といっても、誰に引き継ぐかによって、準備に必要な時間や年齢の考え方が変わります。
親族内承継の場合
お子様など親族に継ぐ場合、後継者の育成や、相続を見据えた株式の移転に時間がかかります。早く始めるほど、税負担の対策や相続人間の公平性への配慮もていねいに行えます。50代からの着手が理想的です。
従業員承継の場合
役員や従業員に継ぐ場合は、経営者としての育成に加えて、株式の買取資金や、金融機関からの借入に対する経営者保証をどう引き継ぐかが課題になります。候補者との合意形成に時間がかかるため、こちらも早めの準備が安心です。
第三者承継(M&A)の場合
親族にも社内にも後継者がいない場合の選択肢です。近年は中小企業のM&Aが一般的になり、70代からでも「相手が見つかれば」比較的短い期間で進むことがあります。ただし、良い相手と出会い条件を整えるには相応の準備が必要ですので、「まだ元気なうち」に相談を始めておくと選択肢が広がります。
「まだ早い」と思ったときこそ始めどき ― 準備開始の3つの目安
次の3つのうち、はっきり「はい」と言えないものがあれば、それが準備を始めるサインです。
①後継者の意思を確認できているか。「継いでくれるだろう」という思い込みのまま時間が過ぎているケースは少なくありません。
②引き継ぐものを整理できているか。自社株の評価、借入や保証、許認可、主要な取引先との関係など、引き継ぐ中身の棚卸しができているか。
③承継後の体制を考えられているか。誰がどの役割を担うのか、承継後の会社の形を描けているか。
事業承継を始める3つのステップ

実際に動き出すときは、次の順番で進めると迷いにくくなります。まず後継者と承継の方向性を確認し、次に引き継ぐものと課題を整理、そのうえで相談先を決めて計画を立てる——この3ステップです。最初の一歩は、相手や制度を決めることではなく、「自社の現状を客観的に把握すること」から始まります。
まとめ ― 熊本で迷ったらTORUTEへ
事業承継に「早すぎる」はありません。平均年齢を待つのではなく、ご自身の年代でできる準備から始めることが、会社と従業員、そして取引先を守ることにつながります。年齢や状況によって最適な進め方は変わりますので、判断に迷われたときは専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、事業承継・M&A・財務コンサルティングを通じて、経営者の皆様の円滑なバトンタッチをサポートしています。「うちはいつ動けばいい?」という段階からで構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
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