TORUTEブログ
赤字でも会社は売れる?~熊本の相談現場で見る、1000万円以下の少額案件で買い手がつく会社の条件~
2026/08/24 11:43|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「うちは赤字だから、会社を売るなんて無理だろう」——ご相談の場で、社長からこの言葉を聞かない月はありません。決算書が赤字続きで、借入も残っている。だから買い手なんて現れるはずがない、と最初から諦めてしまう。ところが実際の少額案件(1000万円以下のスモールM&A)の現場では、赤字の会社に買い手がついて成約する例は珍しくありません。この記事では、赤字でも買い手がつく会社にはどんな共通点があるのか、逆に何が足りないと話が進まないのかを、熊本の相談現場の実感を交えて整理します。
結論:買い手が見ているのは「利益」ではなく「引き継げるもの」
先に結論をお伝えします。赤字であっても、買い手が「自分ならこれを活かせる」と思える資産や仕組みがあれば、会社は売れます。少額案件の買い手の多くは、大企業のように投資リターンを厳密に計算して買うわけではありません。個人の方や、近隣で同じ業種を営む小規模事業者が「ゼロから立ち上げるより、この会社を引き継いだほうが早い」と考えて手を挙げるケースが中心です。
つまり判断の起点は「今いくら儲かっているか」ではなく、「引き継いだあと、自分の手で黒字にできそうか」です。赤字の原因が社長個人の高額な役員報酬や、すでに撤退した不採算部門にあるなら、買い手から見れば「そこを整理すれば黒字」と映ります。この見え方の違いが、赤字でも成約する案件と、しない案件を分けています。
買い手がつきやすい赤字会社の5つの特徴

これまでのご相談から、少額案件で買い手が関心を示しやすい会社には、次のような特徴があると感じています。
ひとつめは、許認可や免許を持っていること。建設業許可、運送業、飲食店、介護事業などは、取得に時間と手間がかかるため、それ自体が価値になります。ふたつめは、続いている取引先や顧客名簿があること。定期的に発注してくれる先が数社あるだけでも、買い手にとっては大きな安心材料です。
みっつめは、社長以外に現場を回せる従業員がいること。社長が抜けた瞬間に事業が止まる会社は、赤字かどうか以前に引き継ぎ自体が難しくなります。よっつめは、赤字の理由がはっきりしていること。原因が特定できていれば、買い手は打ち手を描けます。いつつめは、簿外債務や未払いの整理が進んでいること。ここが不透明なままだと、条件交渉以前に話が止まります。
逆に、話が進まなくなるのはどんなときか
一方で、赤字そのものより深刻なのが「わからない」状態です。帳簿と実際の在庫が合わない、社長個人と会社のお金が混ざっている、従業員との雇用契約書がない、リース残債や個人保証の全体像が把握できていない——こうした状態では、買い手はリスクの大きさを見積もれず、値段以前に手を引いてしまいます。
また、ご相談のタイミングが遅すぎるケースも少なくありません。資金繰りが完全に行き詰まり、支払いが止まってからでは、買い手を探す時間そのものが残っていません。赤字であっても、まだ事業が動いていて従業員が働いている段階なら、選択肢は複数あります。動きが止まってからでは、選べる道が一気に狭まります。早めにご相談いただくことが、結果的に条件を守ることにつながります。
赤字会社を譲るときに確認しておきたい実務ポイント
実際に譲渡を進める場合、少額案件では株式譲渡ではなく事業譲渡の形をとることがよくあります。買い手が簿外債務を引き受けたくないという事情があるためです。ただし事業譲渡では、取引先との契約の巻き直しや従業員との再契約が必要になり、許認可も原則として引き継げません。どちらの方式が適しているかは、会社の状況によって変わります。
あわせて確認したいのが、社長個人の連帯保証の扱いです。会社を譲っても保証だけが自動的に外れるわけではなく、金融機関との個別の交渉が必要になります。経営者保証に関するガイドラインの活用を含め、譲渡の条件を決める前に金融機関との見通しを立てておくことをおすすめします。税務の取り扱いや必要な手続きは個別事情により異なりますので、具体的な進め方は専門家にご確認ください。
まとめ
赤字は、会社が売れない理由にはなりません。買い手が見ているのは過去の決算ではなく、引き継いだあとに自分が何をできるかです。許認可、取引先、働いている人、そして「赤字の理由がわかっていること」——この4つが揃っていれば、1000万円以下の少額案件でも十分に相手は見つかります。逆に、整理されていない状態のまま時間だけが過ぎると、選べる道は確実に減っていきます。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、赤字や債務が残る会社の譲渡についてもご相談をお受けしています。「まだ売れる状態なのか知りたい」という段階のご相談で構いません。制度や条件は個別の事情によって大きく変わりますので、まずは現状を一緒に整理するところから、お気軽にご相談ください。
最近の投稿
- 資金繰りが厳しくなったら会社はどうなる?~私的整理と法的整理の違いと、熊本の相談現場で見る再生の選択肢~
- 赤字でも会社は売れる?~熊本の相談現場で見る、1000万円以下の少額案件で買い手がつく会社の条件~
- 事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?~熊本の相談現場で見る、不採択になりやすい申請の共通点~
- 会社を整理したら社長の個人保証はどうなる?~経営者保証ガイドラインと、再生型M&Aで事業を残す方法~
- M&Aは安く済ませられる?~1000万円以下の少額案件でかかる費用と『安い会社』の見極め方~
- M&Aの仲介手数料に補助金は使える?~事業承継・M&A補助金『専門家活用枠』の対象と申請の流れ~
- 債務超過でも会社は残せる?~熊本の相談現場で見る、再生型M&Aとスポンサー型で事業をつなぐ方法~
- 100万円で買える会社は本当にある?~スモールM&Aと1000万円以下の少額案件の実態と注意点~
- これから危ない企業に共通する特徴とは?~熊本の相談現場で見る、決算書で確認したい5つの危険信号~
- 事業譲渡で退職したら会社都合になる?~熊本の相談現場で見る、失業給付の扱いと転籍の実務~