TORUTEブログ
2026年8月
資金繰りが厳しくなったら会社はどうなる?~私的整理と法的整理の違いと、熊本の相談現場で見る再生の選択肢~
2026/08/25 08:41|カテゴリー:M&A、資金繰り・融資

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「今月の支払いは何とかなったが、来月以降の見通しが立たない」「銀行への返済を止めたら、その時点で会社は終わりなのではないか」。資金繰りが厳しくなってきた経営者の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。倒産・破産という言葉が頭に浮かぶと、誰にも相談できないまま時間だけが過ぎてしまいがちです。しかし、資金繰りが苦しい状態から会社を立て直す方法は、破産だけではありません。この記事では、事業再生の入口となる「私的整理」と「法的整理」の違い、そして早めに動いた場合に取り得る選択肢を整理します。

結論:資金繰りが悪化しても、会社をたたむ以外の選択肢は残っている
先に結論を申し上げます。債務の返済が重くなってきた段階であれば、多くの場合、会社をたたまずに事業を続ける方法が残っています。金融機関と話し合って返済条件を見直す、収益が出ている事業だけを別会社やスポンサーに引き継ぐ、といった手立てがあるためです。
逆に、資金が完全に尽きてから相談に来られた場合は、選べる手段が破産などに絞られてしまいます。事業再生の世界では「手元資金がいくら残っているか」が、そのまま選択肢の広さになります。まだ数か月分の運転資金がある段階こそ、動くべきタイミングです。
私的整理と法的整理はどう違うのか

債務を整理する方法は、大きく「私的整理」と「法的整理」に分かれます。
私的整理は、裁判所を使わず、金融機関などの債権者と直接話し合って返済条件を見直す方法です。取引先や仕入先を巻き込まずに進められるため、信用不安が広がりにくく、事業を続けながら立て直しを図れる点が大きな利点です。中小企業活性化協議会や事業再生ADRといった第三者の関与する手続もあり、公平性を保ちながら進めることができます。一方で、対象となる債権者全員の同意が必要なため、一社でも反対すればまとまりません。
法的整理は、民事再生や会社更生、破産といった裁判所の手続を使う方法です。法律に基づいて多数決などで処理が進むため、全員の同意がなくても債務を整理できます。反面、手続が公になるため取引先や従業員に伝わり、売上や仕入に影響が出やすいという難しさがあります。
順番としては、まず私的整理で立て直せないかを検討し、それが難しい場合に法的整理を考える、という流れが一般的です。
資金繰りが厳しいときに検討したい四つの方向性
実際のご相談では、次のような方向性を組み合わせて検討することが多くあります。
一つ目は返済条件の見直し(リスケジュール)です。金融機関に事業計画を示し、当面の元金返済を減らしてもらう方法で、比較的早い段階で相談できる手立てです。二つ目は中小企業活性化協議会などの公的機関の活用です。各都道府県に設置されており、熊本にも窓口があります。中立的な立場で金融機関との調整に入ってもらえるため、経営者だけで交渉するより話が進みやすくなります。
三つ目は再生型M&A・スポンサー型です。事業そのものに価値があるなら、スポンサーとなる会社に事業を引き継いでもらい、従業員の雇用と取引先との関係を残す形が取れます。四つ目は第二会社方式です。採算の取れている事業だけを新会社に移し、過大な債務は旧会社に残して清算する方法で、私的整理と組み合わせて使われることがあります。
いずれの方法にも要件や向き不向きがあり、どれが適切かは債務の総額、資産の内容、事業の収益力、経営者保証の有無などによって変わります。個別事情により異なりますので、実際の判断は専門家にご確認ください。
相談が遅れるほど選択肢は狭くなる
私たちが繰り返しお伝えしているのは、「早く相談してください」ということに尽きます。理由は三つあります。
まず、手元資金がある段階なら、私的整理やスポンサー探しに必要な時間を確保できます。次に、事業の収益力が残っているうちの方が、引き継ぎ手が現れやすくなります。そして、経営者保証についても、早い段階であれば経営者保証に関するガイドラインに沿って、個人の資産をどこまで残せるかを金融機関と協議する余地があります。
反対に、支払いが実際に止まってしまうと、取引先の離反が始まり、従業員の退職も進み、事業の価値そのものが急速に失われます。「もう少し様子を見てから」という数か月が、結果として会社を残す道を閉ざしてしまうことは少なくありません。
まとめ
資金繰りの悪化は、そのまま廃業を意味するものではありません。私的整理で返済条件を見直す、公的機関の力を借りる、再生型M&Aで事業を引き継ぐ、第二会社方式で採算事業を切り出す——検討できる道は複数あります。大切なのは、資金と事業の価値が残っているうちに動くことです。制度の要件や進め方は事案によって異なりますので、具体的な判断にあたっては最新の情報とあわせて専門家にご相談ください。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、事業再生・事業承継・M&Aのご相談を承っております。「まだ相談する段階なのか分からない」という状態でも構いません。数字を一緒に見ながら、取り得る選択肢を整理するところから始められます。お気軽にご相談ください。
赤字でも会社は売れる?~熊本の相談現場で見る、1000万円以下の少額案件で買い手がつく会社の条件~
2026/08/24 11:43|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「うちは赤字だから、会社を売るなんて無理だろう」——ご相談の場で、社長からこの言葉を聞かない月はありません。決算書が赤字続きで、借入も残っている。だから買い手なんて現れるはずがない、と最初から諦めてしまう。ところが実際の少額案件(1000万円以下のスモールM&A)の現場では、赤字の会社に買い手がついて成約する例は珍しくありません。この記事では、赤字でも買い手がつく会社にはどんな共通点があるのか、逆に何が足りないと話が進まないのかを、熊本の相談現場の実感を交えて整理します。

結論:買い手が見ているのは「利益」ではなく「引き継げるもの」
先に結論をお伝えします。赤字であっても、買い手が「自分ならこれを活かせる」と思える資産や仕組みがあれば、会社は売れます。少額案件の買い手の多くは、大企業のように投資リターンを厳密に計算して買うわけではありません。個人の方や、近隣で同じ業種を営む小規模事業者が「ゼロから立ち上げるより、この会社を引き継いだほうが早い」と考えて手を挙げるケースが中心です。
つまり判断の起点は「今いくら儲かっているか」ではなく、「引き継いだあと、自分の手で黒字にできそうか」です。赤字の原因が社長個人の高額な役員報酬や、すでに撤退した不採算部門にあるなら、買い手から見れば「そこを整理すれば黒字」と映ります。この見え方の違いが、赤字でも成約する案件と、しない案件を分けています。
買い手がつきやすい赤字会社の5つの特徴

これまでのご相談から、少額案件で買い手が関心を示しやすい会社には、次のような特徴があると感じています。
ひとつめは、許認可や免許を持っていること。建設業許可、運送業、飲食店、介護事業などは、取得に時間と手間がかかるため、それ自体が価値になります。ふたつめは、続いている取引先や顧客名簿があること。定期的に発注してくれる先が数社あるだけでも、買い手にとっては大きな安心材料です。
みっつめは、社長以外に現場を回せる従業員がいること。社長が抜けた瞬間に事業が止まる会社は、赤字かどうか以前に引き継ぎ自体が難しくなります。よっつめは、赤字の理由がはっきりしていること。原因が特定できていれば、買い手は打ち手を描けます。いつつめは、簿外債務や未払いの整理が進んでいること。ここが不透明なままだと、条件交渉以前に話が止まります。
逆に、話が進まなくなるのはどんなときか
一方で、赤字そのものより深刻なのが「わからない」状態です。帳簿と実際の在庫が合わない、社長個人と会社のお金が混ざっている、従業員との雇用契約書がない、リース残債や個人保証の全体像が把握できていない——こうした状態では、買い手はリスクの大きさを見積もれず、値段以前に手を引いてしまいます。
また、ご相談のタイミングが遅すぎるケースも少なくありません。資金繰りが完全に行き詰まり、支払いが止まってからでは、買い手を探す時間そのものが残っていません。赤字であっても、まだ事業が動いていて従業員が働いている段階なら、選択肢は複数あります。動きが止まってからでは、選べる道が一気に狭まります。早めにご相談いただくことが、結果的に条件を守ることにつながります。
赤字会社を譲るときに確認しておきたい実務ポイント
実際に譲渡を進める場合、少額案件では株式譲渡ではなく事業譲渡の形をとることがよくあります。買い手が簿外債務を引き受けたくないという事情があるためです。ただし事業譲渡では、取引先との契約の巻き直しや従業員との再契約が必要になり、許認可も原則として引き継げません。どちらの方式が適しているかは、会社の状況によって変わります。
あわせて確認したいのが、社長個人の連帯保証の扱いです。会社を譲っても保証だけが自動的に外れるわけではなく、金融機関との個別の交渉が必要になります。経営者保証に関するガイドラインの活用を含め、譲渡の条件を決める前に金融機関との見通しを立てておくことをおすすめします。税務の取り扱いや必要な手続きは個別事情により異なりますので、具体的な進め方は専門家にご確認ください。
まとめ
赤字は、会社が売れない理由にはなりません。買い手が見ているのは過去の決算ではなく、引き継いだあとに自分が何をできるかです。許認可、取引先、働いている人、そして「赤字の理由がわかっていること」——この4つが揃っていれば、1000万円以下の少額案件でも十分に相手は見つかります。逆に、整理されていない状態のまま時間だけが過ぎると、選べる道は確実に減っていきます。
TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、赤字や債務が残る会社の譲渡についてもご相談をお受けしています。「まだ売れる状態なのか知りたい」という段階のご相談で構いません。制度や条件は個別の事情によって大きく変わりますので、まずは現状を一緒に整理するところから、お気軽にご相談ください。
事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?~熊本の相談現場で見る、不採択になりやすい申請の共通点~
2026/08/23 18:32|カテゴリー:事業承継、補助金・助成金

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「事業承継・M&A補助金を使いたいが、どのくらい採択されるものなのか」「せっかく手間をかけて申請しても落ちるなら、最初から考えないほうがよいのでは」。補助金のご相談では、必ずといってよいほどこのご質問をいただきます。採択率という数字だけを見て判断してしまうと、本来なら十分に通る可能性があった申請をあきらめてしまうことにもなりかねません。今回は、採択率をどう受け止めればよいのか、そして不採択になりやすい申請にはどんな共通点があるのかを、熊本の相談現場の目線で整理します。

採択率は「制度全体の数字」ではなく「枠ごとの数字」で見る
結論から申し上げると、事業承継・M&A補助金の採択率は、制度全体でひとくくりに語れるものではありません。この補助金には専門家活用枠、経営革新枠、廃業・再チャレンジ枠といった複数の枠があり、枠ごとに応募件数も審査の観点も異なります。同じ公募回でも枠によって採択率に差が出ることは珍しくありませんし、公募回が変われば予算規模や応募状況も変わります。
つまり「事業承継の補助金は通りにくいらしい」という漠然とした噂で判断するのではなく、自社が使おうとしている枠について、直近の公募回の実績を確認するのが出発点です。採択結果は公募回ごとに公表されますので、最新の公募要領とあわせてご確認ください。なお、具体的な採択率や上限額は公募回によって変わりますので、本稿では数字そのものではなく「何が結果を分けるのか」に絞ってお伝えします。
不採択になりやすい申請に共通する4つの点

私たちが拝見してきた範囲で、惜しくも通らなかった申請には、いくつか共通する傾向があります。
ひとつ目は、形式要件の取りこぼしです。gBizIDプライムの取得が間に合わない、認定経営革新等支援機関の確認書が締切に間に合わない、必要書類の一部が欠けている——といった、内容以前のところで土俵に上がれないケースです。もったいない不採択の典型といえます。
ふたつ目は、承継や M&A と、申請している取組のつながりが見えないことです。設備投資や新事業の計画そのものは立派でも、それが「承継を機に行うもの」だと読み手に伝わらなければ、この補助金の趣旨に合っているとは判断されにくくなります。
三つ目は、数字の裏づけが薄いことです。「売上を伸ばす」「効率化する」という方向性だけが書かれていて、どの経費がどう効いて、いつまでにどの程度の効果を見込むのかが示されていない申請は、評価しづらいものになります。
四つ目は、対象外経費が混ざっていることです。何が対象になるかは公募要領で細かく決められており、思い込みで積み上げると、申請額が想定より大きく削られることもあります。
準備段階でできることのほうが、実は多い
採択率を上げるという言い方をすると、申請書の書きぶりを工夫する話だと受け取られがちですが、実際に効いてくるのは書き始める前の準備です。gBizIDプライムの取得には日数がかかりますし、認定支援機関に相談してから書類が整うまでにも時間が必要です。締切の直前に動き出すと、この二つだけで選択肢が狭まってしまいます。
また、承継やM&Aの計画自体がまだ固まっていない段階で申請書だけを先に書こうとすると、どうしても内容が抽象的になります。誰に、いつ、どのように引き継ぐのか。その中でこの取組がどんな役割を果たすのか。この順番で整理しておけば、申請書は自然と具体的なものになります。
まとめ
採択率は、制度全体の平均値を眺めても意味がありません。ご自身が使う枠の直近の傾向を確認したうえで、形式要件を確実に押さえ、承継・M&Aと取組のつながりを数字とともに示す。この基本を丁寧に踏むことが、遠回りのようでいて一番の近道です。制度の内容や上限額、公募スケジュールは公募回ごとに変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認ください。また、対象になるかどうかは個別事情により異なりますので、判断に迷う点は専門家にご相談ください。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&Aのご相談をお受けしています。「補助金が使える場面なのか知りたい」「次の公募に間に合うか確認したい」といった段階のご相談でも構いません。お気軽にご相談ください。
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