TORUTEブログ

2026年7月

会社の値段はどう決まる?~中小企業M&Aの企業価値評価3つのアプローチ~

2026/07/10 12:31|カテゴリー:M&A

会社の値段はどう決まる?

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「うちの会社を譲るとしたら、いったいいくらの価値があるのだろう」——事業承継やM&Aを考え始めた経営者の多くが、まず気になるのがこの点ではないでしょうか。企業価値は決算書の数字だけで一律に決まるものではなく、いくつかの評価アプローチを組み合わせて算定します。今回は、中小企業のM&Aで用いられる代表的な3つの評価方法と、その考え方をわかりやすくご紹介します。

企業価値評価の3つのアプローチ

企業価値の評価方法は、大きく「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」の3つに分類されます。それぞれ着目する視点が異なり、会社の実態や取引の目的に応じて使い分け、あるいは組み合わせて用います。まずは全体像を整理してみましょう。

企業価値評価の3つのアプローチ(コスト・マーケット・インカム)を示した図解

純資産をもとにする「コストアプローチ」

コストアプローチは、会社が持つ資産と負債の差額である純資産に着目する方法です。帳簿上の純資産をそのまま使うのではなく、土地や有価証券などを時価に評価し直した「時価純資産」を基準とし、これに数年分の利益をもとにした営業権(のれん)を加える方式が中小企業ではよく使われます。財産の裏づけがあるため客観性が高く理解しやすい一方、会社の将来の稼ぐ力が価格に反映されにくいという側面もあります。

似た事例と比べる「マーケットアプローチ」

マーケットアプローチは、事業内容や規模が似た上場企業の株価や、過去のM&A取引事例と比較して価値を推し量る方法です。市場での評価水準を反映できるため説得力がありますが、中小企業では比較対象となる類似企業や事例を見つけにくく、そのままでは適用が難しいケースも少なくありません。実務では他のアプローチを補う参考値として使われることが多い方法です。

将来の収益力に着目する「インカムアプローチ」

インカムアプローチは、会社が将来生み出すと見込まれる利益やキャッシュフローを現在の価値に割り引いて評価する方法です。代表例がDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)で、会社の成長性や収益力を価格に反映できるのが大きな特徴です。買い手が「この会社を買えば将来どれだけのリターンが得られるか」を重視するM&Aの場面と相性がよい一方、将来予測の前提の置き方によって金額が大きく変わるため、事業計画の妥当性が問われます。

まとめ

企業価値評価には唯一絶対の正解があるわけではなく、複数のアプローチを組み合わせ、会社の実態と取引の目的を踏まえて総合的に判断します。そして最終的な取引価格は、算定された評価額を土台にしつつ、買い手・売り手の交渉によって決まっていくものです。日ごろから財務を整え、自社の強みを「見える化」しておくことが、いざというときに納得のいく評価につながります。なお、具体的な評価額の算定や税務の取り扱いは個別事情によって異なりますので、必ず専門家にご相談ください。TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継・M&A・財務コンサルティングを行っています。自社の価値を知りたい、将来に備えて準備を始めたいという経営者の方は、お気軽にご相談ください。

M&Aの進め方~相談からクロージングまでの流れと期間の目安~

2026/07/08 08:40|カテゴリー:M&A

M&Aの進め方

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「そろそろM&Aで会社を譲ることも考えたいが、実際どういう順番で進むのか、どれくらいの期間がかかるのか、まったくイメージがわかない」——初めてご相談にお越しになる経営者の方から、最もよくいただく声のひとつです。M&Aは一生に一度あるかないかの取引ですから、全体像が見えないのは当然のことです。今回は、中小企業のM&Aが「相談」から「成約後の統合」まで、どのような流れで進んでいくのかを、期間の目安とあわせて整理してご紹介します。

M&Aは大きく6つのステップで進む

中小企業のM&A(会社や事業の譲渡)は、おおまかに次の6つのステップに分けて考えると全体像がつかみやすくなります。それぞれの段階でやるべきことと、注意すべきポイントが異なります。まずは下の図で全体の流れを俯瞰してみてください。

M&Aの基本的な流れを示した6ステップの図解

準備・相手先探し・基本合意まで

最初のステップは「ご相談・準備」です。なぜ譲りたいのか(引退・後継者不在・成長戦略など)という目的を整理し、専門家とともに自社の企業価値をおおまかに把握します。ここで譲渡の方針や希望条件を固めておくことが、後の交渉の土台になります。

次に「相手先探し・マッチング」です。仲介会社やアドバイザーが、譲渡先の候補となる企業をリストアップし、匿名の資料で打診していきます。関心を示した相手が現れたら、秘密保持契約を結んだうえで具体的な情報を開示します。そして「トップ面談・基本合意」では、経営者同士が直接顔を合わせて経営理念や従業員への思いを確認し合い、大筋の条件について基本合意書(意向表明)を取り交わします。この段階までで、着手からおおむね半年前後を要することが多いといえます。

デューデリジェンスから成約・統合へ

基本合意の後は「デューデリジェンス(買収監査)」に入ります。これは買い手側が、財務・税務・法務・労務などの観点から売り手企業を詳しく調査する手続きです。ここで簿外債務や未払い残業代といったリスクが見つかると、条件の見直しや破談につながることもあります。売り手としては、日頃から書類を整理し「見える化」しておくことが、スムーズな成約への近道になります。

調査を経て双方が納得すれば「最終契約・クロージング」です。株式譲渡契約などを締結し、株式の移転と譲渡代金の決済を行って、正式に経営権が引き継がれます。そして忘れてはならないのが最後の「PMI(統合プロセス)」です。従業員や取引先への説明、業務・制度のすり合わせなど、成約後こそが会社を次の成長につなげる大切な期間となります。

まとめ

M&Aは、相談から成約まで一般的に半年から1年程度、規模や状況によってはそれ以上かかることもある、長期戦のプロジェクトです。だからこそ、思い立ったときに早めに準備を始め、各ステップの意味を理解しながら進めることが、納得のいく結果につながります。なお、実際の契約内容や税務の取り扱いは個別の事情によって大きく変わりますので、必ず専門家にご相談ください。TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継・M&A・財務コンサルティングを行っています。「まずは全体の流れだけ聞いてみたい」という段階でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。

事業承継の進め方~親族内承継・従業員承継・M&Aの3つの選択肢~

2026/07/07 23:28|カテゴリー:事業承継

事業承継の進め方

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。今回は、事業承継を考え始めた経営者の方に向けて、承継方法の基本となる「3つの選択肢」についてお話しします。

後継者不在は熊本でも深刻な課題です

中小企業庁の調査では、全国の中小企業経営者の平均年齢は年々上昇を続けており、後継者が決まっていない企業は半数近くにのぼるといわれています。熊本県内でも例外ではなく、業績は堅調なのに「継ぐ人がいない」という理由だけで廃業を選択せざるを得ない企業が少なくありません。廃業となれば、従業員の雇用、取引先との関係、そして地域経済に大きな影響が及びます。だからこそ、元気なうちに承継の選択肢を知り、準備を始めることが重要です。

事業承継の3つの選択肢

事業承継の3つの選択肢

1. 親族内承継
お子様やご親族に会社を引き継ぐ、最も伝統的な方法です。社内外の関係者から受け入れられやすく、早くから後継者教育に取り組める一方、自社株式の移転にかかる税負担や、相続人間の公平性への配慮が課題になります。

2. 従業員承継(社内承継)
長年会社を支えてくれた役員や従業員に承継する方法です。経営方針の一貫性を保ちやすい反面、後継者となる従業員に株式買取資金の負担が生じる点や、金融機関からの借入に対する経営者保証の引き継ぎがハードルになりがちです。

3. M&A(第三者承継)
親族にも社内にも後継者がいない場合に、外部の企業や個人に会社を譲渡する方法です。近年は中小企業のM&Aが急速に一般化しており、「会社を守り、従業員の雇用を守る」前向きな選択肢として定着しています。創業者利潤を確保できる点も大きな魅力です。

どの方法でも「早めの準備」が成功のカギ

事業承継の準備には、一般に5年から10年かかるといわれます。後継者の育成、株式や財務の整理、磨き上げによる企業価値の向上など、時間をかけるほど選択肢は広がります。逆に、体調不良などで急に承継を迫られると、選べる道は限られてしまいます。「まだ早い」と感じる今こそが、実は最適なスタートのタイミングです。

まとめ~まずは現状把握から始めましょう~

親族内承継・従業員承継・M&A、どの道を選ぶにしても、最初の一歩は「自社の現状を客観的に把握すること」です。TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、事業承継・M&A・財務コンサルティングを通じて、経営者の皆様の円滑なバトンタッチをサポートしています。後継者のこと、会社の将来のことで少しでも気がかりがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。