TORUTEブログ

2026年8月

株価対策をしていない会社はどうなる?~熊本の相談現場で見る、自社株の評価が上がり続けるリスクと打ち手~

2026/08/06 08:42|カテゴリー:事業承継

株価対策をしていない会社はどうなる?~熊本の相談現場で見る、自社株の評価が上がり続けるリスクと打ち手~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

「うちは自社株の対策なんて何もしていないが、それで問題があるのだろうか」——事業承継のご相談で、社長からよくいただく質問です。上場していない会社の株式には市場価格がないため、日ごろ意識する機会がほとんどありません。ところが、いざ後継者へ引き継ぐ段になって株価を算定してみると、想像以上の評価額になっていた、というケースは珍しくありません。今回は、株価対策をしていない会社に何が起きるのか、そして今から何を確認すればよいのかを整理します。

株価対策をしていない会社ほど、承継の選択肢が狭くなる

自社株の評価額を知らない会社と知っている会社の違い

結論からお伝えすると、株価対策そのものをしていないことが直ちに問題なのではありません。問題は、自社株がいくらと評価されるのかを知らないまま時間が過ぎていくことです。評価額を把握していなければ、後継者にどれだけの負担がかかるのか、贈与と相続のどちらが現実的なのか、そもそも親族内で承継できるのかといった判断ができません。結果として、まだ打てる手が残っている時期を逃し、選べる方法が限られてしまいます。

業績のよい会社ほど、知らないうちに評価が上がっていく

非上場株式の評価では、会社の規模や業種に応じて、同業種の上場会社と比較する方法や、純資産をもとに計算する方法などが用いられます。いずれの方法でも、利益を出し、内部留保を積み上げてきた会社ほど評価額は高くなりやすい構造です。つまり、堅実に経営してきた会社ほど、自社株の評価は静かに上がっていきます。加えて、遊休不動産や生命保険の解約返戻金、含み益のある資産なども評価に影響します。「特別なことは何もしていない」会社でも、10年前とは評価額がまったく違う、ということが起こり得るのです。

対策をしていない会社で起きやすい3つのこと

一つ目は、後継者の資金負担です。株式を贈与や相続で引き継ぐ場合には税負担が生じ、買い取る場合には買取資金が必要になります。評価額が高いほど、この負担は重くなります。

二つ目は、株式の分散です。相続で複数の相続人に株式が分かれると、後継者の議決権が過半数に届かず、重要な意思決定に支障が出ることがあります。いったん分散した株式を集め直すのは、想像以上に手間も費用もかかります。

三つ目は、遺産分割の偏りです。財産の大半が自社株という会社では、後継者に株式を集中させると他のご家族の取り分が乏しくなり、話し合いがまとまりにくくなります。会社の問題が、そのまま家族の問題になってしまう典型的なパターンです。

まずは「今いくらか」を知ることから始める

進め方はシンプルです。決算書をもとに現在の株価をおおよそ把握し、後継者に移すとしたらどれだけの負担が生じるかを試算します。そのうえで、役員退職金の支給時期に合わせた移転、計画的な生前贈与、持株会社や種類株式の活用、事業承継税制の検討など、自社に合う方法を比較していきます。どの方法にも要件や副作用があり、株価を下げること自体が目的になってしまうと、資金繰りや信用力を損なうこともあります。制度の要件や取扱いは改正されることもあるため、実行にあたっては最新の情報をご確認のうえ、税理士など専門家にご相談ください。

まとめ

株価対策をしていない会社にまず必要なのは、いきなり大きな手を打つことではなく、自社株の評価額を知り、承継の全体像を描くことです。評価額がわかれば、いつ・どの方法で移すのが現実的か、判断材料がそろいます。時間を味方につけられるかどうかで、選べる選択肢の幅は大きく変わります。

TORUTEは熊本市・八代市を中心に、自社株の現状把握から承継の進め方の設計、後継者不在の場合のM&Aまで、財務の視点で伴走しています。「そろそろ考えたほうがよいのだろうか」という段階でも構いません。お気軽にご相談ください。

佐賀で事業承継を進めるには?~相談窓口の使い分けと、県外の相手先まで視野に入れる進め方~

2026/08/04 09:15|カテゴリー:事業承継

佐賀で事業承継を進めるには?~相談窓口の使い分けと、県外の相手先まで視野に入れる進め方~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

「佐賀 事業承継」と調べていらっしゃる方の多くは、佐賀県で長く会社を守ってこられた経営者や、そのご家族ではないでしょうか。後継者が決まらない、どこに相談すればよいのかわからない、そもそも県内に引き継いでくれる相手がいるのか——検索の背景には、こうした具体的な不安があるはずです。今回は、佐賀県で事業承継を考えるときの相談先の整理の仕方と、私たちが熊本・八代の相談現場で日々感じている「相手探しを県内だけに限定しない」という視点についてお話しします。

結論:相談先は役割で使い分け、相手探しは県外まで広げる

先に結論からお伝えします。佐賀県での事業承継を前に進めるうえで大切なのは、次の二点です。一つは、相談先を「制度や支援策を教えてくれる窓口」「実際に相手を探し、契約までまとめる専門家」に分けて考えること。もう一つは、譲り先・後継者を佐賀県内だけで探そうとしないことです。

情報収集だけで数年が過ぎてしまうケースは決して珍しくありません。逆に、進め方さえ整理できれば、想像していたよりも短い期間で道筋が見えることもあります。

佐賀県で使える相談窓口と、それぞれの役割

公的な入口としては、各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターがあります。初期の相談は原則無料で、親族内承継から第三者承継(M&A)まで幅広く受け付けています。あわせて、よろず支援拠点、商工会議所・商工会、地元の金融機関も入口になります。これらは「まず現状を話してみる場所」として有効です。

一方で、株式の集約、個人保証の扱い、契約書の作成といった実務は、税理士・弁護士などの専門家が担う領域です。なお、事業承継に関する補助金や奨励金は、国の制度も自治体の制度も年度や公募回ごとに要件・金額が変わります。金額や対象は必ず最新の公募要領をご確認いただき、判断に迷う場面では専門家にご相談ください。

窓口に行く前に整理しておきたい3つのこと

相談窓口に行く前に整理したい3つのこと

どの窓口を使うにしても、手ぶらで相談に行くと一般論の説明で終わってしまいがちです。次の3点を先に整理しておくだけで、相談の質は大きく変わります。

特に見落とされやすいのが、二つ目の「会社の数字と権利関係」です。直近3期分の決算書に加えて、借入と個人保証の状況、会社が使っている土地・建物の名義、株主が誰になっているかまで確認しておくと、その後の話が一気に具体的になります。

相手探しを「佐賀県内だけ」に限定しない

相談現場でよく伺うのが、「この規模の会社を、地元で引き継いでくれる人はいないだろう」というお声です。しかし実際には、譲り受け側が同じ市町村・同じ県にいるとは限りません。佐賀県は福岡・長崎・熊本と隣接し、経済圏としては九州全体とつながっています。九州内で事業エリアを広げたい企業や、県外から九州に拠点を持ちたい企業が相手先になることもあります。

また、譲り受け側は同業とも限りません。取引先や周辺業種の企業が、仕入れ・販路・人材の確保を目的に手を挙げる例もあります。探す範囲を県内に絞った時点で候補は大きく減ってしまいますので、「九州全域、場合によっては県外も含めて探す」という前提に立つだけで、選択肢は現実的に広がります。

まとめ

佐賀県での事業承継は、相談窓口を役割で使い分けること、そして相手探しの範囲を県内に限定しないことが、選択肢を狭めないためのポイントになります。まずは「誰に」「何を」「いつまでに」の3点を整理したうえで、公的窓口や専門家にご相談ください。制度の要件や金額は変わりますので、最新の情報を確認しながら進めることをおすすめします。

TORUTEは熊本市・八代市を中心に、九州エリアの事業承継・M&Aのご相談をお受けしています。「まだ具体的に決まっていない」という段階でも構いません。会社の将来について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

事業承継税制はいまから使える?~特例措置と一般措置の違い、熊本の経営者が確認すべきポイント~

2026/08/02 12:25|カテゴリー:事業承継

事業承継税制はいまから使える?~特例措置と一般措置の違い、熊本の経営者が確認すべきポイント~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

「自社株を息子に渡したいが、贈与税が心配だ」——そう考えて調べ始めると、必ず出てくるのが事業承継税制という言葉です。ところが実際に調べてみると「特例措置」「一般措置」「特例承継計画」といった用語が並び、結局のところ自分の会社はいまから使えるのかがわからない、というご相談が非常に多くあります。今回は、熊本の経営者の方が最初に押さえるべきポイントを整理します。

結論:これから検討するなら「一般措置」が出発点になる

事業承継税制は、後継者が自社株を引き継ぐ際の贈与税・相続税の納付を猶予する制度で、大きく特例措置一般措置の2つがあります。

優遇の大きい特例措置を使うには、前提として「特例承継計画」を期限内に都道府県へ提出しておく必要がありました。この提出期限は令和8年(2026年)3月31日とされてきた経緯があり、すでに提出を終えている会社でなければ、いまから新たに特例措置を狙うのは難しい、という前提で考えるのが現実的です。一方で一般措置には計画提出の期限がないため、これから検討を始める会社の出発点は一般措置になります。

ただし、この制度は改正が重ねられており、期限や要件の取扱いが変わることがあります。実際の適用可否は、必ず最新の情報をご確認のうえ、税理士などの専門家にご相談ください。

特例措置と一般措置は、何がどう違うのか

事業承継税制 特例措置と一般措置のちがい

両者の違いは「どこまで税負担が軽くなるか」と「どこまで縛りが厳しいか」の2点に集約されます。

特例措置は、対象となる株式の範囲が広く、猶予される割合も大きいため、税負担の軽減効果が非常に大きい制度でした。後継者を複数人まで設定できる点や、雇用の維持要件が実質的に緩和されている点も、中小企業にとっては使いやすい設計でした。

これに対して一般措置は、対象となる株式や猶予の割合に一定の制限があり、雇用を維持できなかった場合の扱いも厳しめです。それでも、相続や贈与のタイミングでまとまった納税資金を用意できない会社にとって、猶予が受けられること自体に大きな意味があります。「特例が使えないから諦める」ではなく、一般措置でどこまで手当てできるかを試算してみるのが正しい順番です。

使う前に必ず確認したい3つのこと

ご相談の現場で、制度の説明より先にお伝えしているのが次の3点です。

1つめは、これは「免除」ではなく「猶予」だという点です。要件を満たし続けている間は納税を待ってもらえますが、条件を外れれば猶予が打ち切られ、猶予されていた税額に利子税を加えて納めることになります。制度に乗ることは、その後何年も要件を守り続けるという約束をすることでもあります。

2つめは、将来の選択肢を縛る可能性があるという点です。いずれM&Aで第三者へ譲るという道が現実的にあり得る会社の場合、税制を使ったことがその判断に影響することがあります。

3つめは、後継者が本当に続けられるかです。税負担が軽くなっても、後継者が数年で辞めてしまえば会社は元に戻りません。税制はあくまで承継の手段であって、目的ではありません。

熊本の現場で見ると、判断材料は「税金」だけではない

熊本市・八代市でご相談をお受けしていると、自社株の評価額がそれほど高くなく、そもそも税制を使わなくても納税資金の目処が立つケースが少なくありません。逆に、不動産を多く持つ会社や、長年利益を蓄積してきた会社では、株価が想像以上に上がっていて驚かれることもあります。

大切なのは、まず自社株がいくらと評価されるのかを把握することです。そのうえで、税制を使うのか、生前贈与や持株会社の活用など別の方法を組み合わせるのか、あるいは第三者への譲渡を視野に入れるのかを検討します。順番を逆にして「制度ありき」で走ると、後から選択肢を狭めてしまいます。

まとめ

事業承継税制は、特例承継計画を提出済みでなければ、これから使うのは一般措置が中心になります。制度は猶予であって免除ではなく、将来のM&Aの可能性に影響する場合もあるため、税額の大小だけで判断すべきものではありません。要件や期限は改正で変わりますので、必ず最新の情報をご確認ください。

TORUTEでは熊本市・八代市を中心に、自社株の評価から承継の進め方、M&Aという選択肢まで、税理士等の専門家と連携しながらご相談をお受けしています。「うちの株はいくらなのか」という段階からで構いませんので、お気軽にご相談ください。