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株式譲渡と事業譲渡どちらで売る?~1000万円以下の少額案件のスキーム選びと手取りの違い~

2026/08/27 08:42|カテゴリー:M&A企業価値評価・株価

株式譲渡と事業譲渡どちらで売る?~1000万円以下の少額案件のスキーム選びと手取りの違い~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「うちの規模なら譲渡価格は1000万円もいかないと思うが、そもそも会社ごと売るのか、事業だけ売るのか、どちらがよいのか分からない」——こうしたご相談は少なくありません。金額が小さい案件ほど、進め方(スキーム)の選び方で手続きの重さも手取りも変わってきます。今回は1000万円以下の少額案件を念頭に、株式譲渡と事業譲渡のどちらで進めるかを整理します。

株式譲渡と事業譲渡どちらで売る?

結論:少額案件は「買い手が引き継ぎたい範囲」で決まる

先に結論からお伝えすると、少額案件のスキームは、売り手の希望よりも「買い手がどこまで引き継ぎたいか」で決まる場面がほとんどです。会社そのもの(法人格)を丸ごと引き継いでよいと考える買い手なら株式譲渡、事業と必要な資産だけを取り込みたい買い手なら事業譲渡になります。特に買い手が個人や小規模な同業者の場合、簿外債務や過去の税務リスクまで背負うことを避けたいという理由から、事業譲渡が選ばれやすい傾向があります。

裏を返せば、売り手が「会社ごと引き取ってほしい」と考えているなら、決算書や契約関係を整理し、買い手が不安を持ちにくい状態にしておくことが、株式譲渡で進めるための近道になります。

株式譲渡と事業譲渡は何が違うのか

少額案件のスキーム比較:株式譲渡と事業譲渡の違い

株式譲渡は、株主が持っている株式を買い手に渡す方法です。会社という器はそのまま残り、許認可・従業員の雇用・取引先との契約も原則としてそのまま続きます。手続きが比較的軽く、少額案件でもスピード感を出しやすいのが利点です。一方で、買い手は簿外の負債や未払い残業代といった見えないリスクごと引き継ぐことになります。

事業譲渡は、会社が持っている事業や資産を個別に売る方法です。引き継ぐ対象を選べるためリスクを切り分けやすい反面、取引先との契約や従業員の雇用は原則として結び直しが必要で、許認可も取り直しになることがあります。手間は増えますが、「この店舗とこの設備だけ引き継ぎたい」といった要望に応えやすい方法です。

少額案件で事業譲渡が選ばれやすい場面

実際のご相談では、次のような場合に事業譲渡が現実的な選択肢になります。ひとつは、社長個人の資産と会社の資産が混ざっていて、会社ごと渡すと整理が難しいケース。もうひとつは、複数事業のうち一部だけを譲り、残りは手元に置いて畳みたいケースです。また、会社に借入や係争が残っており、買い手がそれを引き継ぎたくないという理由から事業譲渡になることもあります。

ただし事業譲渡を選ぶと、譲渡後に会社は抜け殻として残ります。その会社をどう処理するか(休眠にするのか清算するのか)まで決めておかないと、後になって費用と手間が発生します。ここは早い段階で方針を決めておきたいところです。

売り手の手取りは同じ金額でも変わる

見落とされやすいのが、同じ「譲渡価格1000万円」でも手元に残る金額が変わるという点です。株式譲渡では、代金を受け取るのは株主である社長個人です。事業譲渡では、代金を受け取るのは会社であり、社長個人が受け取るには役員退職金や配当といった形で会社から出す必要があります。課税される主体も税目も異なるため、価格だけを見て比較すると判断を誤ります。

また、事業譲渡では消費税の扱いも論点になります。具体的な税負担は会社の状況や譲渡する資産の内容によって大きく変わりますので、必ず顧問税理士や専門家に個別に試算してもらったうえで比較してください。

まとめ

1000万円以下の少額案件でも、株式譲渡と事業譲渡のどちらで進めるかは重要な分かれ道です。買い手が引き継ぎたい範囲、会社に残るリスク、そして売り手の手取りという3つの視点で検討すると、方向性が見えやすくなります。なお、税務・法務の取扱いは個別事情により異なりますので、実際に進める際は必ず専門家にご相談ください。

TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、小規模な事業の譲渡についてもご相談をお受けしています。「この規模でも相手が見つかるのか」「どちらの方法が向いているのか」といった段階のご相談で構いません。お気軽にご相談ください。