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事業承継

承継後の設備投資に補助金は使える?~『経営革新枠』の対象と申請前の3つの準備~

2026/08/29 09:58|カテゴリー:事業承継補助金・助成金

承継後の設備投資に補助金は使える?『経営革新枠』の対象と申請前の3つの準備

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

事業承継の補助金というと、「引き継ぐときの費用を助けてくれるもの」というイメージを持たれている方が多いように感じます。ところが実際にご相談をお受けしていると、会社を継いだ後、あるいは会社を買った後にこそお金が必要になる、という場面のほうが多いのが実情です。古くなった設備を入れ替えたい、新しい商品ラインを立ち上げたい、これまで手をつけていなかった販路を開拓したい。そうした「承継をきっかけにした新しい取組み」を後押しする枠が、事業承継・M&A関連の補助金には用意されています。今回は、いわゆる経営革新の枠について、どんな取組みが対象になるのか、申請の前に何を整理しておくべきかを、熊本の相談現場での感覚を交えて整理してみます。

承継後の設備投資に補助金は使える?

「承継したこと」そのものが申請の入口になる

この枠のいちばんの特徴は、承継や引継ぎがあったこと自体を要件の起点にしている点です。親族内で代表を交代した、従業員へ引き継いだ、あるいはM&Aで他社の事業を譲り受けた——そうした形で経営の担い手が変わったことを前提に、新しい経営者が挑戦する取組みを支援する、という組み立てになっています。

ですので、「補助金があるから何か新しいことを考えよう」という順番ではなく、「承継にあたってこういうことをやりたい」という中身が先にあるほうが、話は圧倒的に進めやすくなります。承継の予定時期と、やりたい取組みの時期の関係も要件に関わってきますので、代表交代の日付や譲渡の実行日は早い段階で整理しておくことをおすすめします。なお、枠の名称や区分は公募回ごとに見直されることがありますので、実際に検討される際は最新の公募要領をご確認ください。

対象になりやすい取組み、なりにくい取組み

対象になりやすいのは、承継後の経営を前に進めるための投資です。生産設備や機械の導入、店舗や工場の改修、新しいサービスを始めるためのシステム構築、新商品の開発にかかる外注費、販路開拓のための広告や展示会出展などが典型でしょう。あわせて、旧来の事業の一部を整理しながら新しい柱に軸足を移す、といった動きが評価される場面もあります。

一方で、単なる運転資金の穴埋め、既存事業をそのまま続けるための維持費用、不動産そのものの取得といったものは、対象外とされることが一般的です。「今ある赤字を埋めたい」という動機で申請を検討されるケースもありますが、この枠の趣旨とは方向が違うため、その場合は再生や資金繰りの観点から別の手立てを検討したほうが現実的です。何が対象経費になるかは公募回や取組み内容によって細かく異なりますので、個別の判断は専門家にご相談ください。

申請前に整理しておきたい3つのこと

承継後の補助金 申請までの流れ(承継の骨格→取組みの言語化→gBizID取得→支援機関と計画→電子申請→交付決定後に実施)

実務でつまずきやすいのは、書類そのものより準備の順番です。第一に、gBizIDプライムの取得。電子申請の入口になるもので、発行までに一定の日数がかかりますから、公募が始まってから慌てると間に合いません。第二に、認定経営革新等支援機関などの支援先との連携。計画の作り込みや確認を求められる場面があり、早めに相談先を決めておくと進行が安定します。第三に、承継の事実を示す資料。登記事項証明書や株主名簿、譲渡契約書など、「たしかに経営者が代わった(代わる)」ことを裏づける書類は、思っている以上に幅広く求められます。

そしてもうひとつ、見落とされがちなのが「交付決定より前に発注しない」という原則です。採択の見込みが立った気になって先に契約してしまうと、その費用が対象外になってしまうことがあります。設備の納期が長い業種ほど、ここは慎重に進めたいところです。

補助金だけで承継の絵は描けない

熊本でご相談をお受けしていて感じるのは、補助金は「承継計画を後押しする道具」であって、承継そのものの答えではない、ということです。誰に引き継ぐのか、株式や個人保証をどう整理するのか、従業員や取引先にいつ伝えるのか。この土台が固まっていないまま補助金の話だけが先行すると、計画書の中身が薄くなり、結果として採択にもつながりにくくなります。

逆に、承継の骨格が定まっている会社は、「その承継を機に何をするか」が自然と言葉になりますので、申請書も書きやすくなります。補助金を検討するタイミングは、承継の相談を始めるタイミングと重ねてしまうのがおすすめです。国の予算や制度は年度ごとに動きますので、具体的な公募時期や補助率、上限額については必ず最新の公募要領をご確認ください。

まとめ

承継後の新しい挑戦を支える枠は、設備投資や新事業、販路開拓といった「前に進むための費用」を対象にしています。申請にあたっては、gBizIDの取得、支援機関との連携、承継を裏づける資料の準備という三つを早めに動かしておくこと、そして交付決定前の発注を避けることが実務上の要点です。要件や金額は公募回や個別事情により異なりますので、最新の公募要領をご確認いただくとともに、判断に迷う場面では専門家にご相談ください。

TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&A、承継後の経営計画づくりのご相談をお受けしています。「うちの承継のやり方で補助金の対象になるのだろうか」「そもそも何から手をつければよいか分からない」といった段階でも構いません。お気軽にご相談ください。

会社をたたむ費用に補助金は使える?~事業承継・M&A補助金『廃業・再チャレンジ枠』の対象と申請の流れ~

2026/08/26 16:26|カテゴリー:事業承継補助金・助成金

会社をたたむ費用に補助金は使える?~事業承継・M&A補助金『廃業・再チャレンジ枠』の対象と申請の流れ~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。

「もう会社をたたむしかないと思っているが、たたむのにもお金がかかると言われた」。そんなご相談をいただくことがあります。店舗の原状回復、機械の撤去、在庫の処分、リース契約の解約金――廃業は「やめれば終わり」ではなく、まとまった費用が出ていく手続きです。手元資金が細っているほど、そのお金が用意できずに動けなくなってしまいます。実は、この廃業にかかる費用の一部には、国の補助金が使える可能性があります。今回は事業承継・M&A補助金の「廃業・再チャレンジ枠」について整理します。

会社をたたむ費用に補助金は使える?

結論:廃業にかかる費用も、補助の対象になり得る

事業承継・M&A補助金には、廃業に伴う費用を対象とする枠が設けられています。廃業を「失敗」ではなく、経営資源を次に振り向けるための一つの選択と位置づけ、その費用負担を軽くしようという趣旨の制度です。廃業費用そのものが対象になるという点で、他の補助金とは性格が異なります。ただし、単に事業をやめるだけで自動的に受け取れるものではなく、後述する要件を満たす必要があります。補助率や上限額、対象となる廃業の範囲は公募回ごとに見直されますので、必ず最新の公募要領をご確認ください。

「単独で使う場合」と「他の枠と一緒に使う場合」がある

この枠の使い方は、大きく二通りに分かれます。一つは、事業承継やM&Aに取り組む中で不採算部門や一部の店舗を整理する場合に、他の枠(専門家活用枠や経営革新枠など)と併せて上乗せで使う形です。もう一つは、再チャレンジを前提として事業全体を廃業する場合に、単独で申請する形です。後者は「廃業したうえで、新しい事業に挑戦する」ことが前提になるため、その後の計画をどう描くかが問われます。ご自身のケースがどちらに当たるかで、準備する資料も申請の組み立ても変わってきます。

対象になる費用・ならない費用の考え方

対象として想定されているのは、廃業に直接ひもづく外部への支出です。店舗や工場の原状回復にかかる工事費、設備の解体・撤去や処分の費用、リースの解約に伴う費用、廃業手続きを依頼する専門家への報酬などが典型例です。一方で、金融機関への借入金の返済、従業員への退職金、税金や社会保険料の支払いといった、事業をたたむかどうかに関わらず本来負担すべきものは、対象外とされるのが一般的です。「支払うお金なら何でも見てもらえる」わけではない点は、最初に押さえておきたいところです。判断に迷う費用は、見積書の段階で認定経営革新等支援機関に確認しておくと安心です。

申請の流れ――先に準備しておきたいこと

廃業・再チャレンジ枠 申請の流れ

申請は電子申請システムで行うため、まずgBizIDプライムの取得が必要です。この取得には書類の郵送と審査で日数がかかりますので、公募が始まってから動くと間に合わないことがあります。公募開始前に取っておくのが実務上の鉄則です。あわせて、認定経営革新等支援機関の確認や、廃業費用の見積書の取得も先に進めておきます。交付決定の前に発注・契約してしまった費用は対象外になるのが原則ですので、工事や撤去の発注は必ず交付決定を待ってから行ってください。

まとめ

廃業にかかる費用に補助金が使える可能性があると知っているかどうかで、選べる道は変わります。そして、この制度は「まだ動ける段階」で相談に来られた方ほど活かしやすいものです。資金が完全に尽きてからでは、交付決定を待つ時間そのものが取れなくなってしまいます。また、廃業を検討していた会社が、話を伺うと事業の一部に買い手がつき、M&Aや再生という別の出口に切り替わることも珍しくありません。補助金の要件、対象経費、公募スケジュールは回ごとに変わり、個別事情によっても結論は異なります。TORUTEでは熊本市・八代市を中心に、廃業・事業承継・M&Aのご相談を承っています。どの道を選ぶべきか迷っている段階で構いませんので、まずは専門家にお気軽にご相談ください。

事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?~熊本の相談現場で見る、不採択になりやすい申請の共通点~

2026/08/23 18:32|カテゴリー:事業承継補助金・助成金

事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?~熊本の相談現場で見る、不採択になりやすい申請の共通点~

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「事業承継・M&A補助金を使いたいが、どのくらい採択されるものなのか」「せっかく手間をかけて申請しても落ちるなら、最初から考えないほうがよいのでは」。補助金のご相談では、必ずといってよいほどこのご質問をいただきます。採択率という数字だけを見て判断してしまうと、本来なら十分に通る可能性があった申請をあきらめてしまうことにもなりかねません。今回は、採択率をどう受け止めればよいのか、そして不採択になりやすい申請にはどんな共通点があるのかを、熊本の相談現場の目線で整理します。

事業承継・M&A補助金の採択率はどのくらい?

採択率は「制度全体の数字」ではなく「枠ごとの数字」で見る

結論から申し上げると、事業承継・M&A補助金の採択率は、制度全体でひとくくりに語れるものではありません。この補助金には専門家活用枠、経営革新枠、廃業・再チャレンジ枠といった複数の枠があり、枠ごとに応募件数も審査の観点も異なります。同じ公募回でも枠によって採択率に差が出ることは珍しくありませんし、公募回が変われば予算規模や応募状況も変わります。

つまり「事業承継の補助金は通りにくいらしい」という漠然とした噂で判断するのではなく、自社が使おうとしている枠について、直近の公募回の実績を確認するのが出発点です。採択結果は公募回ごとに公表されますので、最新の公募要領とあわせてご確認ください。なお、具体的な採択率や上限額は公募回によって変わりますので、本稿では数字そのものではなく「何が結果を分けるのか」に絞ってお伝えします。

不採択になりやすい申請に共通する4つの点

不採択になりやすい申請の4つの共通点

私たちが拝見してきた範囲で、惜しくも通らなかった申請には、いくつか共通する傾向があります。

ひとつ目は、形式要件の取りこぼしです。gBizIDプライムの取得が間に合わない、認定経営革新等支援機関の確認書が締切に間に合わない、必要書類の一部が欠けている——といった、内容以前のところで土俵に上がれないケースです。もったいない不採択の典型といえます。

ふたつ目は、承継や M&A と、申請している取組のつながりが見えないことです。設備投資や新事業の計画そのものは立派でも、それが「承継を機に行うもの」だと読み手に伝わらなければ、この補助金の趣旨に合っているとは判断されにくくなります。

三つ目は、数字の裏づけが薄いことです。「売上を伸ばす」「効率化する」という方向性だけが書かれていて、どの経費がどう効いて、いつまでにどの程度の効果を見込むのかが示されていない申請は、評価しづらいものになります。

四つ目は、対象外経費が混ざっていることです。何が対象になるかは公募要領で細かく決められており、思い込みで積み上げると、申請額が想定より大きく削られることもあります。

準備段階でできることのほうが、実は多い

採択率を上げるという言い方をすると、申請書の書きぶりを工夫する話だと受け取られがちですが、実際に効いてくるのは書き始める前の準備です。gBizIDプライムの取得には日数がかかりますし、認定支援機関に相談してから書類が整うまでにも時間が必要です。締切の直前に動き出すと、この二つだけで選択肢が狭まってしまいます。

また、承継やM&Aの計画自体がまだ固まっていない段階で申請書だけを先に書こうとすると、どうしても内容が抽象的になります。誰に、いつ、どのように引き継ぐのか。その中でこの取組がどんな役割を果たすのか。この順番で整理しておけば、申請書は自然と具体的なものになります。

まとめ

採択率は、制度全体の平均値を眺めても意味がありません。ご自身が使う枠の直近の傾向を確認したうえで、形式要件を確実に押さえ、承継・M&Aと取組のつながりを数字とともに示す。この基本を丁寧に踏むことが、遠回りのようでいて一番の近道です。制度の内容や上限額、公募スケジュールは公募回ごとに変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認ください。また、対象になるかどうかは個別事情により異なりますので、判断に迷う点は専門家にご相談ください。

TORUTEは熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&Aのご相談をお受けしています。「補助金が使える場面なのか知りたい」「次の公募に間に合うか確認したい」といった段階のご相談でも構いません。お気軽にご相談ください。