TORUTEブログ

2026年9月

事業承継でM&Aを選ぶデメリットは?~熊本の相談現場で見る、1000万円以下の少額案件で後悔しやすい4つの落とし穴~

2026/09/07 21:53|カテゴリー:M&A

事業承継でM&Aを選ぶデメリットは?1000万円以下の少額案件で後悔しやすい4つの落とし穴

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「後継者がいないので、そろそろM&Aを考えたい」というご相談は、熊本市でも八代市でも年々増えています。ただ、M&Aはメリットだけの手段ではありません。とくに譲渡価格が1000万円以下になる小規模案件では、大きな案件とは違った形で「思っていたのと違った」が起きやすいのが実情です。今回はあえてデメリット側から、熊本の相談現場で見えてきた落とし穴を整理します。

熊本の町工場の事務所で、年配の社長がM&Aについて相談員と話している様子

買い手の体力と本気度が見えにくい~少額ゆえに『買ってみただけ』が起きる仕組みと、簿外債務・許認可の確認漏れ~

少額案件は買い手が少ない自己資金で検討できるため候補が集まりやすい半面、資金力や経営経験が十分でない相手が混ざりやすくなります。熱心に見学に来られたのに、資金調達の段階で話が止まってしまう例も珍しくありません。譲渡後に運転資金が続かなければ、従業員の雇用や取引先との関係が揺らぎ、結果として売り手が最も心を痛めます。また、少額だからと調査が簡略化され、未払残業代やリース残債などの簿外債務、建設業・運送業・飲食業といった許認可の承継可否の確認が漏れることもあります。取扱いは業種や個別事情により異なりますので、事前確認が欠かせません。

手取りが思ったより残らない~税負担・手数料・契約条件で目減りする理由~

「1000万円で売れた」という金額と、社長の手元に残る金額は別物です。株式譲渡か事業譲渡かというスキームの違い、法人に入るのか個人に入るのかで税負担の考え方は変わり、仲介手数料や専門家費用も差し引かれます。少額案件では最低手数料の設定により、譲渡価格に対する手数料の割合が大きくなることもあります。さらに分割払いや業績連動の条件が付くと、契約時点の金額がそのまま入るとは限りません。税率や特例は制度改正や個別事情により異なりますので、早い段階で手取りベースの試算を行い、税理士等の専門家にご相談ください。

譲渡後も社長の責任は残る~個人保証・引継ぎ期間・競業避止の落とし穴~

会社を譲っても、金融機関の借入に付けた個人保証が自動的に外れるわけではありません。解除には金融機関との協議が必要で、可否や時期は個別の判断になります。また「引継ぎのため半年から1年は顧問として残る」と定めるケースも多く、想定していた引退時期とずれることがあります。加えて競業避止義務により、同じ地域で似た事業を再開できない期間が設けられることもあります。人のつながりが濃い熊本では退任後も相談が舞い込みがちですので、保証の扱い、引継ぎ期間、報酬の有無、競業避止の範囲は必ず書面で確認しましょう。

熊本の狭い商圏で起きやすい波及~従業員・取引先・金融機関への伝え方と順番~

熊本市や八代市では、同業者同士も取引先同士も顔が見える距離感です。検討段階の話が漏れると「あの会社は売られるらしい」という噂が先に広がり、従業員の離職や取引条件の見直しにつながることがあります。八代周辺の製造業や建設関連では、取引先が発注方針を見直す動きに出ることもあります。早すぎる開示は混乱を招き、遅すぎる説明は不信を招きます。契約の目処が立った段階で、キーマンとなる従業員、主要取引先、取引金融機関へと順を追って説明する設計を、買い手と合意しておくことが大切です。

デメリットを小さくする進め方~書面化のポイントと相談先の選び方~

少額案件で後悔しやすい4つの落とし穴と対策の第一歩をまとめた図解

デメリットは、事前に見える化すれば多くを小さくできます。雇用の維持、屋号や取引の継続、代金の支払時期、引継ぎ期間、簿外債務の責任範囲、個人保証の扱いといった「譲れない条件」を、口約束ではなく書面へ落とすことが第一歩です。次に、買い手の資金の裏付けと事業計画、地域での評判を確認すること。そして、どの立場で関わるのか、費用がいくらかかるのかを明示し、成約を急がせない相談先を選ぶことです。公的な支援策を活用できる場合もありますが、対象や要件は変わりますので最新の公募要領をご確認ください。

まとめ

M&Aは後継者不在を解決する有力な選択肢ですが、少額案件だからこそ買い手の見極め、手取りの試算、譲渡後の責任、情報開示の順番という四つの落とし穴があります。制度や金額、要件は個別事情により異なりますので、判断の前に必ず専門家にご相談ください。TORUTEでは熊本市・八代市を中心に、まだ決めていない段階からのご相談も承っています。「デメリットも含めて一度整理したい」という段階で構いませんので、お気軽にご相談ください。

マッチングサイトで直接やり取りしてもいい?~1000万円以下の少額案件で売り手が確認したい4つのこと~

2026/09/06 19:39|カテゴリー:M&A

マッチングサイトで直接やり取りしてもいい?1000万円以下の少額案件で売り手が確認したい4つのこと

こんにちは。熊本の事業承継・M&Aコンサルティングファームの TORUTE(トルテ)です。1000万円以下の少額案件では、マッチングサイトに登録した売り手が、買い手候補と直接やり取りを始めるケースが増えています。「仲介に頼むと費用がかさむので、まずは自分で話してみたい」というご相談は、熊本市・八代市でも珍しくありません。実際、当事者同士で話が早く進むこと自体は悪いことではありません。ただ、少額案件だからこそ、後戻りできない場面が早い段階でやってきます。今回は、直接やり取りを進めるときに売り手側が自分で確認しておきたい4つの点を整理します。

町工場の事務所で書類を見ながら向き合って話す年配の経営者と買い手候補

1.相手が「本当に買える人」かどうかを先に見る

マッチングサイトでは、気軽に打診が入ります。しかし打診の数と、実際に引き継げる力は別ものです。確認したいのは、資金の裏づけと、事業を担う体制の二つです。少額案件では自己資金で買う方も多い一方、金融機関からの借入を前提にしているのに、まだ相談すらしていないという例もあります。また、買った後に誰が現場を回すのかが決まっていないと、従業員や取引先が離れてしまいます。熊本の相談現場では、「価格の話より前に、承継後の体制をどう考えていますか」と一度聞いてみることをおすすめしています。ここで具体的な答えが返ってくるかどうかで、相手の本気度はかなり見えてきます。

2.秘密保持を先に。資料を出す順番を決めておく

直接交渉でいちばん多いつまずきが、資料を早く出しすぎることです。熱意のある買い手候補から求められると、決算書や取引先の一覧、従業員の名簿まで、初期段階で渡してしまうことがあります。ところが商談が流れた後、その情報だけが相手の手元に残ります。同業の方が買い手候補だった場合、影響はより大きくなります。秘密保持契約を結んだうえで、会社名を伏せた概要から、決算書の概要、そして詳細資料へと、段階を踏んで開示する。この順番を最初に決めておくだけで、リスクはかなり下がります。

3.費用の体系は「総額でいくらか」を書面で確認する

少額案件では、費用が譲渡価格に対して相対的に重くなります。仲介会社やアドバイザーを使う場合、着手金・中間金・成功報酬に加えて、最低手数料が設定されていることがあります。譲渡価格が数百万円でも、最低手数料の方が上回るという事態は起こり得ます。プラットフォームの利用料や、契約書のチェックにかかる専門家費用も別に必要です。金額だけでなく、どの時点で発生するのか、途中で断念した場合はどうなるのかまで、書面で確認しておいてください。詳しくは各社の料金表や規約の最新版をご確認ください。

4.最終契約だけは専門家を入れる

交渉そのものは当事者同士で進めても、契約書の段階は専門家に見てもらうことを強くおすすめします。少額案件でも、表明保証の範囲、簿外債務が後から出てきたときの負担、社長個人の連帯保証をいつ外すか、競業避止義務の期間、退職金や未払残業の扱いといった論点は、規模にかかわらず同じように出てきます。インターネット上の雛形をそのまま使った結果、引渡し後に想定外の請求を受けたというご相談も実際にあります。契約書の確認だけを依頼する形であれば、費用も限定的です。「全部任せるか、全部自分でやるか」の二択ではなく、要所だけ専門家を使うという選び方があります。

まとめ

少額案件で売り手が自分で確認したい4つのことをまとめた図解

1000万円以下の少額案件で、売り手が直接やり取りを進めること自体は、選択肢としてあり得ます。大切なのは、相手の実力を早めに見極めること、資料を出す順番を決めておくこと、費用の総額を書面で押さえること、そして最終契約は専門家に見てもらうことです。この4点さえ外さなければ、直接交渉でも大きな失敗は避けやすくなります。制度や手数料の要件は変わることがありますので、判断の前に必ず最新の情報をご確認いただき、迷われたときは専門家にご相談ください。TORUTE では熊本市・八代市を中心に、少額案件の進め方や契約内容の確認についてのご相談をお受けしています。売却を考え始めた段階でも、すでに交渉が始まっている段階でも構いません。お気軽にご相談ください。

補助金はどの枠で申請する?~事業承継促進枠と経営革新枠の違いと、熊本の相談現場で見る選び分け~

2026/09/04 08:40|カテゴリー:事業承継補助金・助成金

補助金はどの枠で申請する?事業承継促進枠と経営革新枠の違い

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。事業承継・M&A補助金について「どの枠で申請すればよいのか分からない」というご相談をよくいただきます。とくに設備投資を伴う承継の場合、「事業承継促進枠」と「経営革新枠」のどちらに当てはまるのか、迷われる経営者の方が少なくありません。今回は、この2つの枠の考え方の違いと、熊本の相談現場で見る選び分けのポイントを整理します。

補助金はどの枠で申請する?

枠は「承継の前か後か」で分かれる

事業承継促進枠と経営革新枠の違いを比較した図解

細かい要件は公募回ごとに変わりますが、大きな考え方はシンプルです。これから承継を実行する段階で必要になる投資を後押しするのが事業承継促進枠、すでに承継を終えた後継者が新しい挑戦をする段階を後押しするのが経営革新枠、という時間軸の違いが基本にあります。

つまり「まだ社長が代わっていない」のか「もう代わっている」のかで、入口が変わります。ご自身の会社がいまどの段階にいるのかを最初に整理すると、枠の候補は自然と絞り込めます。

事業承継促進枠は「これから引き継ぐ」会社が対象

事業承継促進枠は、親族内承継や従業員承継、第三者への承継を計画している中小企業が、承継を円滑に進めるために行う設備投資などを対象とする枠です。承継の計画があること、一定期間内に承継を実行する見込みがあることなどが問われます。

熊本でいえば、老朽化した機械のまま息子さんに引き継ぐのは不安がある、承継を機に工場のレイアウトを見直したい、といったご相談が該当し得ます。ただし「承継の予定がある」ことを書類で示せるかどうかが実務上の分かれ目になりますので、後継者との合意形成を先に固めておくことが大切です。

経営革新枠は「承継した後」の新しい取り組みが対象

経営革新枠は、承継やM&Aを終えた後に、新商品の開発や新分野への進出、生産性を高める設備の導入といった新しい取り組みを行う場合に活用を検討する枠です。過去一定期間内に承継を行ったこと、といった時期の要件が置かれることが一般的です。

「先代から引き継いで数年経ち、そろそろ自分の代の投資をしたい」という後継者の方は、こちらの枠が視野に入ります。承継からの経過年数によって対象外になることもあるため、早めの確認をおすすめします。

熊本の相談現場で見る、枠選びでつまずきやすい点

よくあるのが、承継の時期が確定していないまま設備の発注を進めてしまい、補助対象の経費として認められない形になってしまうケースです。補助金は原則として交付決定より前に契約・発注した経費を対象としないため、順番を誤ると使えなくなります。

また、どの枠でも申請にはgBizIDプライムの取得や、認定経営革新等支援機関との連携が必要になる場面があります。これらは取得や調整に時間がかかりますので、枠を決める作業と並行して準備を始めておくと安心です。補助額の上限や補助率、対象経費の範囲は公募回ごとに設定が変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認ください。

まとめ

事業承継促進枠と経営革新枠は、「これから承継する」か「承継した後」かという時間軸で整理すると考えやすくなります。まずは自社の承継がどの段階にあるのかをはっきりさせ、そのうえで対象経費と申請時期を確認する、という順番が遠回りに見えて確実です。要件は個別事情により異なりますので、判断に迷われる場合は専門家にご相談ください。

TORUTEでは、熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&Aに関するご相談をお受けしています。補助金の枠選びから承継計画の組み立てまで、経営者の方の状況に合わせてご一緒に整理いたします。お気軽にご相談ください。