TORUTEブログ
2026年9月
再生か廃業か、どこで見極める?~熊本の相談現場で見る、判断を先送りしないための4つの目安~
2026/09/03 09:00|カテゴリー:M&A、事業再生・廃業

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。業績が落ち込んだ会社の相談では、「まだ頑張れる気がする」という思いと、「そろそろ限界かもしれない」という不安が同時にあることがほとんどです。再生に向かうのか、それとも会社をたたむ準備に入るのか。この見極めが遅れるほど、選べる道は狭くなっていきます。今回は、その分かれ道をどのタイミングで、何を材料に考えるのかを整理します。

「まだ大丈夫」と「もう無理」の間に、判断すべき時期がある
ご相談の多くは、すでに資金がかなり細ってから持ち込まれます。しかし実務では、支払いが止まる直前よりも、その半年から一年ほど手前のほうが、はるかに手が打てます。事業再生は、金融機関との返済条件の調整、収益構造の見直し、スポンサーとなる譲受企業探しなど、どれも相手のある話です。相手と交渉するには、交渉するだけの時間と、当面の運転資金が要ります。手元資金が尽きてからでは、再生の話をする土俵にすら上がれないことがあるのです。
逆に言えば、「まだ払えている」うちに相談された会社ほど、事業を残せる可能性が高いということでもあります。判断を先送りしないための目安を、次に挙げます。
再生か廃業かを考え始める4つの目安

次の4つは、熊本のご相談の現場で、私たちが状況を整理するときに必ず確認している点です。当てはまるからすぐ廃業という話ではなく、「専門家を交えて検討を始める時期に来ている」というサインだとお考えください。
第一に、本業のもうけを示す営業損益が二期以上続けて赤字になっていないか。第二に、借入の返済が本業のキャッシュフローで賄えず、新たな借入や資産の取り崩しで回していないか。第三に、税金や社会保険料の納付を待ってもらっている状態になっていないか。第四に、事業そのものに、今後も必要とされる技術・得意先・人材が残っているかどうかです。
とくに四つ目が、再生と廃業を分ける中心になります。数字が厳しくても、地域に必要とされる仕事があり、それを担う従業員が残っているなら、会社という器を整理しつつ事業を引き継ぐ道が検討できます。逆に、事業の中身がすでに失われている場合は、傷が浅いうちに整理したほうが、経営者ご自身とご家族の生活を守れることもあります。
廃業を選ぶ場合でも、早いほど残せるものがある
廃業は「何も残らない選択」だと思われがちですが、実際はそうとも限りません。早い段階であれば、設備や取引先、店舗を個別に引き継いでもらう形で一部を譲渡できることがありますし、従業員の再就職先を落ち着いて探す時間も取れます。資金が完全に尽きた後では、こうした調整をする余力そのものがなくなります。
また、経営者の個人保証の扱いも、早めに動くかどうかで結論が変わり得る部分です。詳しい要件は個別事情により異なりますので、金融機関との関係を含めて、早い段階で専門家にご相談ください。
まとめ
再生か廃業かは、資金が尽きてから決めるものではなく、まだ動ける時期に検討を始めるものです。営業損益、返済の原資、公租公課の納付状況、そして事業そのものの価値。この4つを一度冷静に並べてみることが出発点になります。判断に迷う段階でご相談いただくほど、事業を残す選択肢も、たたむ場合の着地も、穏やかなものにできます。TORUTEでは熊本市・八代市を中心に、事業再生と再生型M&A、廃業の比較検討についてのご相談を承っています。制度の要件や金額は個別事情により異なりますので、まずは現状の整理から、お気軽にご相談ください。
1000万円以下の会社は仲介に断られる?~熊本の相談現場で見る、少額案件の相談先の選び方~
2026/09/02 08:49|カテゴリー:M&A

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。
「会社を譲りたいと思って何社か問い合わせたが、規模が小さいからと断られた」。1000万円以下の少額案件、いわゆるスモールM&Aのご相談では、こうしたお話をよく伺います。断られた経験があると「うちの会社には値段がつかないのだろう」と受け止めてしまいがちですが、実際には会社の価値ではなく、相談先との相性の問題であることが少なくありません。今回は、少額案件の相談先の選び方と、断られたときに見直したい点を整理します。

なぜ「1000万円以下」は断られることがあるのか
M&Aの支援業務は、譲渡金額が大きくても小さくても、必要な手続きの数はあまり変わりません。買い手探し、資料の整理、条件交渉、契約書の作成といった工程は共通です。そのため、成功報酬を譲渡金額に連動させている支援会社では、少額案件だと採算が合わず、最低手数料の水準を下回る案件はお断りする、という運用になっていることがあります。
つまり、断られた理由は「売れない会社だから」ではなく、「その会社の料金体系に合わなかったから」であることが多いということです。実際、熊本の相談現場でも、いったん断られた会社が別のルートで買い手候補と出会い、話が進むケースがあります。最初の一社で判断してしまわないことが大切です。
少額案件の相談先は大きく分けて4つ

少額案件で使われる主な窓口には、次のようなものがあります。それぞれ費用のかかり方も、任せられる範囲も違います。
M&Aプラットフォームは、自社の情報を掲載して買い手候補を広く募る方法です。公的な相談窓口である事業承継・引継ぎ支援センターは無料で相談でき、地域の候補先とのマッチングを扱っています。取引のある金融機関に相談すると、取引先のネットワークから候補先を探してもらえることもあります。そして、契約書の作成や資料の整理といった実務は、地域の専門家に個別に依頼するという選択肢があります。
どれか一つに絞る必要はなく、買い手を探す窓口と、書面や条件を確認してもらう専門家を分けて考えると、少額案件でも費用を抑えながら進めやすくなります。
相談先を選ぶときに確認したい3点
第一に、費用体系です。着手金や中間金があるのか、成功報酬だけなのか、最低手数料はいくらかを、最初の面談で確認しておきます。譲渡代金の見込みに対して費用が見合うかどうかは、早い段階で分かったほうが判断しやすくなります。
第二に、買い手候補をどこから探すのかです。全国のデータベースから探すのか、地域の取引先網から探すのかで、集まる候補先の顔ぶれは変わります。小規模な事業ほど、引き継いだ後も地元で続けられるかどうかが重要になりますから、熊本県内や九州圏の候補先にどれだけ当たれるかは確認しておきたいところです。
第三に、契約や引き継ぎの実務をどこまで見てもらえるかです。買い手を紹介するところまでが役割で、契約書の内容や従業員・取引先への説明は当事者に任される場合もあります。少額案件ほどこの部分が手薄になりやすいので、誰が担当するのかをはっきりさせておくと安心です。
断られたときに見直したいこと
相談先を変えるだけでなく、譲る側の準備を整えることで話が動きやすくなることもあります。決算書や許認可、賃貸借契約、主要な取引先の状況といった資料をひととおり整理しておくと、買い手候補が検討に入りやすくなります。社長個人の資産と会社の資産が混ざっている場合は、その切り分けを先に済ませておくことも有効です。
また、株式をまとめて譲る方法だけでなく、店舗や事業の一部だけを譲る形であれば引き受け手が見つかる、というケースもあります。金額の大小だけで可能性を判断せず、どの形なら引き継げるかという視点で考えてみてください。なお、費用や税務の取扱いは個別事情により異なりますので、具体的な判断の前に専門家にご相談ください。
まとめ
1000万円以下の少額案件で断られるのは、会社に価値がないからではなく、相談先の料金体系や得意分野と合っていないことが理由である場合が多くあります。費用体系、買い手候補の探し方、契約や引き継ぎの支援範囲という3点を確認しながら、複数の窓口を比べてみてください。
TORUTEは熊本市・八代市を中心に、小規模な事業の譲渡や引き継ぎのご相談に対応しています。「この規模でも相手が見つかるだろうか」という段階のご相談でも構いません。お気軽にご相談ください。
事業承継補助金は公募開始後で間に合う?~先に済ませたいgBizIDと認定支援機関の準備~
2026/09/01 11:35|カテゴリー:事業承継、補助金・助成金

こんにちは。熊本の事業承継・M&AコンサルティングファームのTORUTE(トルテ)です。「事業承継・M&A補助金を使いたいので、公募が始まったら教えてください」——熊本市や八代市の経営者の方から、こうしたご相談をいただくことがよくあります。ところが実際には、公募の開始を待ってから動き始めると、申請書の作成以前のところで時間切れになってしまうケースが少なくありません。今回は、補助金の中身そのものではなく、申請にたどり着く前につまずきやすい2つの関門について、相談現場で見えてきたことを整理します。

公募期間は思ったより短い
事業承継・M&A補助金は、公募要領が公表されてから申請の締切までの期間が、おおむね1か月から2か月程度で設定されることが一般的です。この間に、事業計画をまとめ、必要書類をそろえ、電子申請システムに入力して提出まで終える必要があります。
「2か月あれば十分では」と思われるかもしれません。しかし、この期間の中には、後述するアカウントの取得や支援機関との調整といった、自社の努力だけでは短縮できない待ち時間が含まれています。公募要領が出てから初めて準備を始めると、この待ち時間がそのまま締切までの余裕を削っていくことになります。なお、公募回によって期間や要件は変わりますので、実際に申請される際は必ず最新の公募要領をご確認ください。
第一の関門:gBizIDプライムの取得
事業承継・M&A補助金の申請は、電子申請システムを通じて行われ、その入口として「gBizIDプライム」というアカウントが必要になります。これは国が提供する法人・個人事業主向けの共通認証アカウントで、補助金以外の行政手続でも使われるものです。
ここで注意したいのが、gBizIDプライムは申し込んですぐに発行されるものではないという点です。印鑑証明書などの書類を用意し、申請内容の審査を経て発行されるため、一定の日数がかかります。申請方法によって所要日数は異なりますが、いずれにしても「今日申し込んで明日使う」というわけにはいきません。
熊本の相談現場でも、公募開始のニュースを見てから慌ててアカウントの取得に動き、発行を待っている間に事業計画の検討時間がほとんど取れなかった、という話を伺うことがあります。gBizIDプライムは、補助金を使うかどうか最終的に決めていない段階でも先に取っておけるのが利点です。取得したからといって申請義務が生じるものではありませんので、事業承継やM&Aを検討し始めた時点で手続きを進めておくことをおすすめします。最新の必要書類や所要日数は、gBizIDの公式サイトでご確認ください。
第二の関門:認定経営革新等支援機関との連携
事業承継・M&A補助金では、枠や公募回によって、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認や関与が求められる場合があります。認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験を持つとして国の認定を受けた機関で、金融機関、税理士、公認会計士、中小企業診断士、弁護士などが登録されています。
ここでつまずきやすいのが、「認定支援機関であれば誰でも同じように動いてくれるわけではない」という点です。認定を受けている機関は全国に多数ありますが、事業承継やM&Aの案件を日常的に扱っているかどうかは機関によって大きく異なります。顧問税理士が認定支援機関だったので依頼したところ、承継案件の経験がなく、事業計画の中身まで一緒に詰めるところまでは対応が難しかった、というご相談も実際にあります。
また、公募が始まってから初めて相談に行くと、支援機関側にも他の申請者の対応が集中しているため、十分な打ち合わせの時間を確保しにくくなります。誰に確認を依頼するのかを、公募前の落ち着いた時期に決めておくだけで、申請期間中の負担はかなり変わります。中小企業庁のウェブサイトでは認定支援機関を検索できますので、地域や専門分野から候補を絞り、事前に一度話をしておくとよいでしょう。
公募前にそろえておける3つのもの

公募要領が出るまで手をつけられないことも確かにありますが、逆に言えば、それ以外は前倒しで進められます。相談現場でお伝えしているのは、次の3つです。
1つ目は、前述のgBizIDプライムです。2つ目は、直近の決算書と試算表。申請では自社の財務状況を示す資料が必要になりますし、そもそも承継やM&Aの方向性を考えるうえでも土台になります。3つ目は、承継後に何をしたいのかのメモです。設備を入れ替えたいのか、新しい販路を開きたいのか、不採算の事業を整理したいのか。補助金の事業計画は「承継を機に何に取り組むか」を書くものですので、この材料が手元にあるかどうかで作成のスピードがまったく変わります。
なお、補助金は採択されて初めて交付が決まるものであり、申請すれば必ず受けられるものではありません。対象経費や補助率、上限額、加点項目なども公募回ごとに見直されます。金額や要件については、必ず最新の公募要領をご確認いただき、個別の判断は専門家にご相談ください。
まとめ
事業承継・M&A補助金でつまずくのは、多くの場合、事業計画の中身よりも手前の段取りです。gBizIDプライムの発行待ち、認定支援機関との調整——このどちらも、公募が始まってから動くと締切までの時間を確実に圧迫します。逆に、この2つを先に片づけておけば、公募期間は事業計画そのものに集中して使えます。
補助金は、承継やM&Aを進める後押しにはなりますが、それ自体が目的ではありません。制度の適用可否や具体的な進め方は、会社の状況や承継の形によって異なりますので、個別の事情に沿った検討が必要です。TORUTEでは熊本市・八代市を中心に、事業承継やM&Aの進め方から補助金・支援制度の活用まで、経営者の方のご相談をお受けしています。「そもそも自社が対象になるのか」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
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